岐阜県山県市長滝の伊自良湖でワカサギ釣りがシーズンを迎えている。東海地区有数のスポットといわれ、週末には湖面に多くのボートが浮かび、県内外の釣り人がのんびりと糸を垂らす光景が広がる。もともとワカサギが生息していなかった湖ににぎわいが生まれたのは、閑散としていた冬場に人を呼び込みたいという地元住民の強い思いがあった。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」湖は周囲が約2・4キロで、54万トンの水をためる人造湖。春は桜、夏は深緑、秋は紅葉が楽しめる。さらに冬を中心にワカサギ釣りを堪能でき、名古屋近郊から車で約1時間30分というアクセスの良さもあり、年間を通じて観光客でにぎわう。
伊自良湖のワカサギ釣りは、毎年9月から翌年5月までがシーズン。湖畔にたたずむカフェ「ラブレイク」がボートの管理などを行っている。釣り雑誌でも取り上げられ、1シーズンで1万2、3千人の釣り人が訪れるという。
湖は旧山県郡伊自良村時代の1969年、農地開拓用のため池として整備された。70年代に入り、村が管理していた湖畔の施設「伊自良湖荘」の管理を、カフェの店長藤田力弥さん(60)の義父が引き継いだ。
「当時は週末になると、全てのボートが出るほど利用客で盛況だった」と藤田さんは振り返る。だが盛況なのは春から夏にかけてのみ。冬場は閑散としていた。「4カ月ほどお客が来ないのは経営的に厳しい状況だった」という。そこで冬の誘客に企画されたのがワカサギ釣りだった。80年ごろ、伊自良湖荘の近くに新たに村が整備した「ニューいじら湖荘」がオープン。それに合わせ、管理を担当した藤田さんの母の尽力もあって釣りが始まり、村きっての観光地が誕生した。
ワカサギは内湾や湖に生息する冷水性の魚だが、湖にはもともと生息していなかった。そのため、魚を人工ふ化させており、現在、毎年3千万~4千万粒の卵を放っているという。環境適応能力が高い魚ではあるが、ふ化には水がきれいな場所が必要。藤田さんたちがふ化の場所や方法を試行錯誤して現在の方法を確立した。
集客にも力を入れており、10年ほど前に釣果を競い合うイベントを企画したところ大当たり。「東海地方の腕に自信のある愛好家が集結した」といい、1日に1500匹を釣ったつわものまで現れたという。
認知度を高めたワカサギ釣りは、存続の危機を迎えた。2015年度から2年間、堤体の耐震補強工事で湖の水を抜いたため、ワカサギが全滅。売り上げに貢献していた釣りができず、経営に大打撃を与えた。だが藤田さんは「お金もうけよりお客さんが喜んでくれる顔を見たい」と、再び人工ふ化に取り組んだ。ワカサギが湖を泳ぎ回る光景が復活し、それとともに釣り人も戻ってきた。
さらなる集客につなげようと、18年には、市がニューいじら湖荘を改修。おしゃれなカフェに様変わりし、名称もラブレイクに変更。昨年からインターネット予約も始めた。
家族連れで訪れる人も多い。「釣りとともに会話も楽しめ、コミュニケーションの場にもなっている」と魅力を語る藤田さん。日ごろの喧騒(けんそう)から離れ、深まる紅葉とともにのんびりと釣りを楽しんではいかが。













