「二足のわらじ」を地で行くバンドがある。岐阜市や岐阜県可児市で活動する弁護士と社会保険労務士、行政書士の「士業」が結成した「G―BENS(ジー・ベンズ)」。レパートリーはリードボーカルで弁護士の渡邉淳一さん(39)がミュージシャン時代に発表した楽曲だ。「目標は野外フェスへの出演」。大きな夢を掲げ、県内の複数のイベントに出演するなど、精力的に活動をしている。
昨年12月に可児市のレコーディングスタジオで行われたバンドの全体練習。ギターやドラムの音と共に、渡邉さんの澄んだハイトーンボイスが響いていた。
渡邉さんは可児市で育ち、高校時代から曲を作っていた。東京大理科Ⅰ類に進んだが「音楽業界への挑戦は若いうちにしかできない」と一念発起、自主退学を選んだ。バンド「ラビット・ライダー」を結成した後はJUN(ジュン)としてギターボーカルと作詞作曲を担当した。
バンドは月に2回のライブを続け、アルバム5枚をリリースするなど好調だったが、生計を立てるにはほど遠かった。運送業や飲食店の仕事を掛け持ちする日々は変わらず、「音楽を続けるために職を探そう」と2013年に実家に戻り、弁護士を志すようになった。
塾講師をしながら隙間時間を勉強に充てた。努力が実って合格率約4%とされる難関の司法試験予備試験を通過、司法試験にも合格を果たした。
司法修習生として、岐阜市内の弁護士事務所で修習をしていた18年、渡邉さんがギターを弾けると聞いた弁護士の小林明人さん(43)から「県弁護士会の文化祭に一緒に出ないか」と声をかけられ転機が訪れた。
翌年春の県弁護士会の新役員披露パーティーでは、ベース担当で行政書士の神原京子さん(31)、キーボード担当で弁護士の所寿弥さん(48)の4人編成でジー・ベンズを結成。市民コンサートなどへ活動の場を広げ、関市でライブを見た社労士の柳原元気さん(40)がドラムに加わった。
初めて5人でのライブを終えた後、メンバー間には「内輪の余興で終わらせたくない」という思いが高まっていたが、全員が多忙な上、新型コロナウイルスの流行で集まることができなかった。22年に入って本格的に再始動し、11月には岐阜市の「ぎふ信長まつり」の一環として市文化センターで開かれた音楽イベントにも出演を果たした。
ギター担当の小林さんは「勇気を出して一歩前へと進めば、人生は楽しいことがたくさんある。仕事は仕事として真剣に取り組む僕たちが音楽を続けるからこそ、伝えられるメッセージだと思う」と話す。
渡邉さんも複数の労働事件に取り組むなど弁護士の仕事に意欲を燃やしながら、音楽活動にもまい進する。「遠い目標だけれど、いつか野外フェスに出たい」と明かす。前のバンドで一度、大型野外フェスに出演し数千人の歓声を浴びた。「あの経験を一度で終わらせたくない」。音楽と法律家、どちらの道も本気だ。













