今年5月に生まれ、順調に成長している「ミンナノアイドルの2017」(写真提供:パカパカ工房)
まだ幼いが、バランスの良い馬体。将来は競走馬としてJRAデビューを目指す(写真提供:パカパカ工房)
母馬ミンナノアイドルと、寄り添う愛くるしい次男(写真提供:パカパカ工房)
ミンナノアイドルは今年、モーリスの子を受胎した(写真提供:パカパカ工房)」
昨年開かれた「笠松競馬秋まつり」のサイン会でファンと交流する騎手たち

 オグリキャップ最後の産駒ミンナノアイドル(牝10歳、芦毛)の次男が今年5月20日、佐藤牧場(北海道新冠町)で生まれ、母馬や牧場スタッフの愛情に包まれて、すくすくと成長している。再来年の夏にも競走馬としてJRAでデビューする予定で、偉大な祖父のようなスターホースを目指すことになる。

 父は2月に亡くなったゴールドアリュールで、繁殖牝馬ミンナノアイドルにとっては、5年ぶりの出産となった。生後5カ月になる「ミンナノアイドルの2017」は、祖父オグリキャップや兄ストリートキャップ(5歳、美浦)と同じ芦毛の男の子。地元の「パカパカ工房」さんによると、9月24日には、一口馬主クラブ「ローレルレーシング」の会員を対象にした募集馬視察ツアーが行われ、ミンナノアイドルの次男がお披露目された。まだ幼いが、バランスの良い馬体で立ち姿が堂々としており、母馬に寄り添って愛くるしい表情を見せていたという。

 母ミンナノアイドルは07年5月生まれ。JRAのレースは、三浦皇成騎手を背に東京競馬場で1度だけ走ったが、14着に敗れて繁殖入りした。牧場代表の佐藤信広さんは「種牡馬を引退したようなオグリキャップでしたが、『最後に1頭でいいから、子どもを取り上げたい』と有志が集まって、サポーターズクラブを結成。種付けを支援していただいて誕生したのがミンナノアイドルでした」と感謝した。

 「念願かなって、初子のストリートキャップは活躍してくれていますが(JRAで3勝)、ミンナノアイドルは不妊が続いて、5年ぶりの子どもになります。(ようやく子宝に恵まれ)かわいくてしょうがない存在で、皆さんと一緒に応援できたら幸せです」と、オグリキャップの血統を守り抜く決意を熱く語った。

 会員たちは、ミンナノアイドルの母子と触れ合いながら、記念撮影も楽しんだ。「かわいい、かわいい」と鼻先や首筋をなでられても動じず、しっかりとポーズを決める姿に「こんなに落ち着いた子馬は見たことがない」と驚いた様子だったという。

 兄ストリートキャップの一口馬主募集は200口だったが、「より多くのオグリキャップファンに夢の続きを共有してもらおう」と、「ミンナノアイドルの2017」は400口(1口4万円)で募集が始まった。ローレルクラブのホームページによると、兄と同じ斎藤誠厩舎(美浦)に入厩予定。「将来の競走馬としての資質は確か。芦毛馬として生まれ、オグリキャップの血を受け継ぐ宿命と期待の重さが感じられる」という。ファンも「たくさんの人と、ずっと夢を追い掛けたい」と、兄ストリートキャップを超える活躍を願っている。2年後のJRAデビューを目指すミンナノアイドルの次男の成長が期待されている。

 オグリキャップのひ孫ラインミーティア(母アラマサフェアリー)が、今夏の新潟・アイビスSD(GⅢ)で重賞を初制覇。スプリンターズS(GⅠ)にも挑戦したことは、佐藤牧場にとっても、新たな可能性を感じて刺激を受けたことだろう。たくさんの安産祈願のお守りに見守られ、スタッフの祈りが通じたかのように、牧場には今年も吉報が届いた。ミンナノアイドルが、秋の天皇賞などGⅠ3勝馬・モーリスの子を無事に受胎したのだ。順調なら出産は来年4月28日の予定。佐藤牧場では、オグリキャップの血脈をつないでいくためにも、今後は跡継ぎとなる牝馬の誕生も期待されている。

 秋競馬はいよいよ本番へ。笠松競馬場では、昨年好評だった「笠松競馬秋まつり」が今年も21、22日に開かれ、所属騎手によるサイン会をはじめ、盛りだくさんのイベントが楽しめる。22日には菊花賞(JRA)や西日本ダービー(佐賀)のレース展望やトークショーもあり、競馬場内で馬券が購入できる。メインステージでは、FC岐阜やSKE48の公開録音もある。大勢の家族連れや若者グループの来場が期待されており、木曽川畔の小さな競馬場で、のどかな雰囲気を満喫してほしい。