笠松競馬場でファンの声援に笑顔で応えるミルコ・デムーロ騎手
ミルコ・デムーロ騎手の来場でスタンド前に詰め掛けた大勢のファン
デビューした渡辺竜也騎手は、V字の勝負服で勝利を目指す
笠松競馬場でも大型ビジョンが稼働し、迫力ある映像でレースが楽しめる

 新年度の開催がスタートした笠松競馬場では、待望の大型ビジョンが稼働。迫力あるレース映像を、来場したファンが楽しんでいる。馬券販売も好調で、施設改修や新人騎手デビューなど明るいニュースが多くなった。5日の「臥龍桜特別」(JRA交流戦)では、世界の名手ミルコ・デムーロ騎手が参戦。中央馬スーセントマリーに騎乗し、単勝1.4倍と圧倒的な人気を集めた。

 デムーロ騎手は今年、中央競馬のリーディングトップを快走。笠松での騎乗は、2002年のオグリキャップ記念(アグネスパートナーで3着)以来、15年ぶりとなった。01年には笠松で2戦目で初勝利を飾っている。

 栗東から笠松まではそれほど遠くはないが、桜花賞を控えたデムーロ騎手が笠松に参戦してくれるとは...。来場者が1000人を超えることは珍しくなった笠松だが、この日は有料駐車場も満車状態で、1400人以上のファンが詰め掛けた。大型ビジョンが新設されたメインスタンド前には人垣ができ、熱気に包まれた。「内馬場パドック」から、スーセントマリーに騎乗したデムーロ騎手が本馬場に入場。女性ファンから「デムーロさん、頑張って」と声援が飛ぶと、笑顔で応えていた。

 臥龍桜特別は1400メートル戦で、デムーロ騎手のスーセントマリーは3番手の好位につけたが、勝負どころの3コーナーへの下り坂でペースを上げられなかった。4コーナー手前では「デムーロ、消えた」とファンから悲鳴が上がり、最後の直線で大外に持ち出したが手遅れ。地元騎手の包囲網もあったのか、コーナーがきつい笠松コース攻略は、トップジョッキーにも厳しかったようで、7着に沈んだ。

 このレースでは、笠松のリーディング経験者である佐藤友則騎手、吉井友彦騎手との対決も注目されたが、吉井騎手が騎乗したランドハイパワーが制覇した。デムーロ騎手には笠松へまた来場し、次はぜひ1着でゴールしてファンの期待に応えてほしい。

 4月3日にデビューしたばかりの新人・渡辺竜也騎手(笹野博司厩舎)が初勝利を目指している。この日の10レースでは、1番人気サムライズムに騎乗したが4着に終わった。今開催は2着が最高だった。渡辺騎手は船橋市出身の17歳。船橋競馬場が近かったが、騎乗チャンスが多い笠松でのデビューを決めた。勝負服は、海外競馬でよく見たという「V字」で斬新なデザイン。騎乗技術を少しずつ磨いて、まずは「V1」を目指し、兄弟子の藤原幹生騎手ら先輩ジョッキーの背中を追い掛けていきたい。

 目標は、地方・中央の若手騎手による2017ヤングジョッキーズシリーズで「良い結果を残すこと」。笠松でも5月10日に開催され、渡辺騎手も参戦の予定。昨年のリーディングトレーナー笹野調教師の指導で、馬との折り合いを大切にして、将来はリーディングを争えるような騎手を目指す。「笠松競馬を盛り上げていけるよう頑張りたい」と闘志を燃やす。

 調教師免許を取得したばかりの後藤佑耶調教師は、笠松デビューを目指して開業準備中。南関東で武者修行をするなどして、「馬を預かれるよう、まずは足場を固めて。いつか重賞を勝てる馬を育てたい」と意欲。デビューは夏ごろか。

 ファン待望の大型ビジョンは、レースのライブ映像やリプレー、着順、払戻金などを映し出す。画面は高さ約8メートル、幅約17メートルで、全面発光ダイオード(LED)。県地方競馬組合では「競馬場に足を運んでもらうきっかけになれば」と期待。土曜・日曜にはJRAの馬券が購入できる「J-PLACE」も開設され、大型ビジョンでレース映像が楽しめる。笠松競馬をイメージして、大型ビジョンの愛称を4月21日まで募集中。笠松競馬ホームページでも応募を受け付けている。

 桜花賞(9日・阪神)は、デビュー4連勝中のソウルスターリング(ルメール騎手)が力強い走りで3歳女王に照準。笠松に参戦してくれたデムーロ騎手が騎乗するアドマイヤミヤビも3連勝中で有力。2走前の百日草特別では、牡馬のカデナ(京都2歳S、弥生賞を連勝中)を破っており、男勝りの逸材。初対決となるソウルスターリングを負かせるか、馬連1点で当てたいが...。デムーロ騎手は、昨年のジュエラーに続いて、アドマイヤミヤビで連覇を目指す。

 桜花賞は笠松育ちのオグリローマンが勝ったことがあるレースで、ライデンリーダーも挑戦して4着だった。笠松では、27日にオグリキャップ記念が開催され、大勢のファンの来場が期待されている。