バレンタインデーに「義理チョコ」を贈る人は、3%―。そんな結果が、ジェイアール東海高島屋(名古屋市)のアンケート調査で示された。代わって注目なのが、お世話になった人へ贈る「世話チョコ」だ。友だちに贈ると答えた人よりも多く、2月14日のバレンタインデーまでチョコレートの催事を開催している同店は、新型コロナ禍を機に大きく傾向が変わったと結論付けている。
そもそも「義理」とは何だろう。意味を国語辞典(大辞林)で調べると「物事の正しい道筋。人間のふみおこなうべき正しい道。道理」、「対人関係や社会関係の中で、守るべき道理として意識されたもの」などとある。この意味で3%だと由々しき事態だが、義理チョコの場合は「他人との交際上やむを得ずしなければならないこと」の意味で使われている印象があり、義理人情の世界とは別ものだろう。
一応、辞典には「義理チョコ」も載っていて、「バレンタインデーに、女性が男性の友人・知人・上司・同僚などに、普段の付き合いから儀礼的に贈るチョコレートの俗称」とある。意外と具体的な記述で、性別や贈り先まで明記しているが、断定せずに末尾を〝俗称〟で締めるあたりに辞典のうまさがある。
高島屋のアンケート調査に戻ろう。調査は毎年行っているといい、今季は昨年12月中旬から今年1月上旬まで同店ウェブサイトで実施し、有効回答は約2500人。結果を踏まえた贈り先ランキングは、
①自分…36%
②家族…27%
③お世話になった人…15%
④友だち…12%
⑤本命…8%
⑥義理…3%の順だった。
同店の広報担当者によると、「義理」を贈る人は2017年の調査では7割を超えていたというが、今回はわずか3%。「コロナ禍を機に在宅勤務が広がり、義理チョコを贈らなくなった一方で、大切な人と会えなくなり、本当に大切な人に贈る傾向が強まっているのでは」と変化の要因を探る。さらに「昔は自分用の概念がなかったけれど、今は自分用は当たり前。性別に関係なく皆さん、年に一度のチョコレートの祭典を楽しんでいる」と話す。
儀礼的、事務的に贈る、または配るチョコの割合が少なくなり、1個のチョコに込める重みが増しているのか、そうした傾向は総予算額にも。8割の人が1万円以上と回答していて〝高額化〟が最近のトレンドらしい。
一方でいまや、風前のともしびともいえる義理チョコ文化。こうした流れに、大垣市の団体職員の女性(39)はこう話す。「昔はチョコを贈ることが強制、半強制みたいな息苦しい職場環境があったけれど、今は職場の人間関係がドライ。男性もお返しする手間が省けるから、互いにウィンウィンじゃないかな」
ここ何年も義理チョコを贈ったことがないといい、こんな〝アドバイス〟も。「今は何でもハラスメント化されるせい? おかげ? で上司が権力を振りかざせないので、下っ端もチョコを贈ってご機嫌を取る必要がない。元々、仲のいい人や好意がある人には日常的に贈り物をしているので、イベントの時しかもらえない人は、日頃の人間関係を見つめ直した方がいいかも」とチクリ。いや、グサリか。
これらはあくまでも個人の意見だが、辞典の記述は書き換え時か、それとも一時代を象徴するワードとして生き続けることになるか。ちなみに「自分チョコ」や「友チョコ」、「本命チョコ」も辞典に載っている。













