伝統工芸の職人が、自らオンラインショップを立ち上げて直接販売をする動きが岐阜県で広まりつつある。新型コロナウイルスの感染拡大で、即売会が中止になったり、観光客が減ったりと販売機会が減少。厳しい環境を背景に、岐阜県は職人を対象にしたオンラインショップの制作講座を初めて開いた。これまでウェブの活用に縁遠かった伝統工芸の職人たちが、オンラインショップに活路を見いだそうとしている。
オンラインショップの制作講座は10日、岐阜県庁で開かれた。この日は3回の連続講座の最終回で、5人が出席。別の日程で美濃市の会場でも同じ内容で開いており、計9人の職人が受講した。3回受講すると実際にオンラインショップが開ける。
9人は職人という共通点はあるものの、分野は木工家具や美濃焼、日本刀の外装、和傘、美濃和紙などさまざま。年齢も30代から70代と幅広い。70代は2人で、最年長は74歳だ。
動画メディア運営などを行うニッポン手仕事図鑑(東京都)が講師を派遣。これまでも事業者向けにオンラインショップの制作講座を請け負ってきたが、職人を対象にするのは初めてだ。回数を従来の半分程度の3回に短縮することで、途中であきらめる人を減らすよう工夫した。参加した美濃和紙の職人の高橋まゆみさん(54)=美濃市=は「3回だから最後まで通えた」と満足そうに話す。
職人がオンラインショップに取り組むのは顧客との接点を増やす狙いがある。高橋さんは「新しいところにアプローチできる可能性がある」と指摘。美濃焼の職人の加藤音さん(60)=土岐市=は「個展中心に活動してきたが、個展に来てくれる人は限られる。オンラインショップを新しい人に出会える機会にする」と期待する。
海外を視野に入れる人もいる。日本刀の外装の職人の山田真也さん(44)=関市=がその一人。まずはオンラインショップを国内向けで軌道に乗せ、その先に海外販売を見据える。「日本刀にはさまざまな分野の職人がいて、英語ができる人もいる。この仲間たちと組んで、日本刀を活性化させたい」と意気込む。
県は職人のウェブの活用を積極的に支援する。スマホを使っての商品撮影の講座、職人向けにクラウドファンディングと交流サイト(SNS)についての講座も用意。県の担当者は「オンラインショップとなると壁を感じる人もいる。あきらめずに取り組む職人さんが増えてくれれば」と話す。











