捨てられる生地をハンドメイド作家らに販売している企業が岐阜県美濃市にある。地方の企業ながら顧客は全国に広がり、社員やパートナーはメキシコやブラジル、ドバイにも。活用しているのが交流サイト(SNS)やインターネット上の仮想空間「メタバース」。37歳の社長は「岐阜の繊維業復活にチャレンジしたい」と意気込む。
氏名や役職・部署名で検索!「岐阜の経済・人事情報 ポータル」平日午後、美濃市の事務所。社長の宮島大輔さんがスマートホンでライブ配信を始めると、すぐに約50人が視聴し出した。インスタグラムのフォロワーは約2万人。2年前からほぼ毎日ライブ配信をし、最大で3千人が視聴したこともある。ライブ配信で視聴者と生地を選び、商品化もする。生地は素人という。ライブ配信を始めたのも「フォロワーの知恵を借りたいから」。
本業は中小企業を対象にした財務コンサルタントだ。美濃市出身で、JAめぐみのなどを経て独立した。顧客から国内産の生地が捨てられたり、海外に安く売られていることを教えてもらった。祖母は縫製の仕事をしていた。他人事に思えず2020年10月、「生地のM」を開業した。
顧客の多くはハンドメイドを仕事や趣味とする人たち。そうした人たちが集まれる場所をメタバースにつくった。約350人の有料会員が参加する。ゲームのような画面の中で、参加者たちはアバター(分身)を通して縫い方やパターンなど情報交換をする。千葉県の女性は「普通の主婦の私が全国の人たちと交流できる。楽しく、ありがたい」と話す。
オンラインは顧客との距離を短くした。顧客のニーズを直接知ることができる。SNSやメタバースの交流の中から、障害を持っている子どもたち向けの服の製造などのプロジェクトが生まれた。
雇用もオンラインを採用。約20人の社員には、東京都や千葉県、メキシコやブラジル在住の日本人がいる。打ち合わせはメタバースだ。
宮島さんは美濃市に拠点があることが利点だと考える。「日本の真ん中にあって、物流面でメリットがある」。販促やマーケティング、雇用がオンラインで対応できれば、距離の壁を無くすことができるという。「大量生産、大量廃棄からの脱却や雇用の場の創出に挑戦していきたい」と話す。













