警察官が通報する「23条通報」
支離滅裂な話や、収まらない興奮。そして、警察官に対する攻撃的な姿勢。女性には、精神疾患の症状に起因する自傷他害の恐れがみられた。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」「通報するべきか」-。男性署員は葛藤した。女性を家や街に帰せば、再び興奮して今度は市民を傷つけるかもしれない。逆に保健所に通報すれば、措置入院になるかもしれない。
女性が再び暴れ始めたことから、署員は警察官通報を選択。その夜、岐阜県内の精神科病院への措置入院が決まった。「何時間もわめいて、叫んでいた」。対応した署員の一人が、眠い目をこすりながら話した。
精神保健福祉法には、自分や他人を傷つける恐れがある人を見つけた際、警察官が直ちに保健所に通報する「警察官通報」を義務づけている。今回の件で署員が選択した通報のことで、条文から「23条通報」とも呼ばれている。
通報を受けた保健所による調査を経て、精神科病院に入院させるべきかを指定医2人が判断するのが「措置診察」で、診察を経て本人の同意がなくても入院させることができるのが「措置入院」。行動や外出などが制限されることもある入院形態で、当事者の意思による退院が難しくなる。厚生労働省によると、全国の措置入院患者数は、2021年度は1569人だった。
「保健所に通報しても意味はない」
措置診察や措置入院に至った今回の女性のケースは、岐阜県ではまれだ。措置入院の要否判断に必要な診察に至るケースは全国平均こそ約5割だが、岐阜県では1割ほどにとどまっている。
保健所が調査の段階でいわゆる「前さばき」をして不要としている疑いがあり、 実際、岐阜地域の警察官や検察官を取材すると、保健所が通報に応えていない例が次々と挙がった。
「保健所に通報しても意味はない」「保健所は診察を断る理由を探しているようにしか見えない」とさえ言う警察官もいた。全国の2021年の措置診察率を見ると、最も高い山形県は98%余りである一方、最も低い北海道はわずか8%。都道府県ごとに大きな差があることが浮き彫りとなっている。





