休耕田に茅を植える会員ら=大野郡白川村荻町
茅の株を切り分ける和田正人会長=大野郡白川村荻町

 岐阜県大野郡白川村荻町の住民らでつくる「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」が今年、設立から50年を迎える。会員らは合掌造り集落を持続可能なものとして次の世代へつないでいくため、家屋の屋根の葺(ふ)き替えに欠かせない「茅(かや)」を村内で自給自足させるシステム構築に向け準備を進めている。

かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」

 会は1971年12月、ダム建設や近代的な住居への住み替えにより合掌造り家屋が激減していくことに危機感を覚えた住民らが設立。地域内の資源を「売らない・貸さない・こわさない」という3原則を定め、保全活動に取り組んできた。

 近年、村民の高齢化や暮らしの変化を受け、会の在り方も変わってきた。2014年には3原則のうち「貸さない」を見直し、地域おこし協力隊やローカルメディアなどに活動拠点として貸し出しを始めた。これまで村民のみで行っていた、住人のいない家屋の越冬対策や集落内の清掃活動などにも村外企業の力を積極的に受け入れている。

 設立から50年の節目を迎えた会が現在取り組んでいるのが、休耕田を活用した茅場の造成だ。茅は合掌造り家屋の屋根の原料で、20~30年に一度の「葺き替え」で取り換える。村内には村や各家庭が管理する茅場があるが、刈り取りに適した時期が秋の観光シーズンと重なるため十分な収穫ができず、茅の多くを静岡県などから仕入れているという課題があった。

 新たに造るのは、古くなって屋根から下ろされた茅の腐葉土を、肥料として再利用する循環型の茅場。専門家から土壌に関するアドバイスを受けたり電動の茅刈り機を導入したりすることで自給自足を目指す。

 今月25日には会員ら7人が、2年ほど前から雑木の伐採や根の除去を進めていた約500平方メートルの休耕田に200株の茅を植えていった。尾崎達也事務局長(44)は「村内で茅を循環させることで、合掌造り家屋の保全だけでなく、集落の自然環境保護にもつながるようなシステムを構築していきたい」と期待する。

 新型コロナウイルス禍のため、会は記念式典などは中止し50年の歴史をまとめた記念誌を発行する予定。和田正人会長(60)は「白川郷を共に守ってきた皆さんと大事な節目をお祝いできず残念だが、次の50年につないでいくために良いスタートが切れた」と前を向いた。