中京×各務原=整列の前、真剣な表情を見せる中京の主将中村=長良川
中京×各務原=1回表各務原 無失点で抑え、仲間とともにベンチに戻る中京の中村(左)=長良川

 監督交代、前主将の退学で今春、大きく落ち込んだ強豪中京を立て直したのは新主将中村塁の〝ミーティング力〟だった。初戦の各務原戦は序盤こそ堅さがあったが、四回以降、ミーティングで確認した「低い打球を打つ」が徹底できて得点を重ね、絶対的エース菅沢宙の快投もあって圧倒した。

 「あの時は、どうしようもできないほどチームが大きく落ち込み、野球どころではなかった」。1年2人が入部するまで1人だった女子マネジャーの3年・中島和奏(わかな)さんは振り返る。そんな野球部の新主将に選ばれたのが、副主将だった中村だ。

 中村が着手した改革が、それまで試合前しか行ってこなかったチームミーティングを毎日実施すること。寝る前にそれぞれが課題を出し合い、中村がまとめてチームテーマとする。初戦を前に連日徹底してきたのが「相手は緩い球でフライを打たせようとする。低い打球を打ち、思うようにさせない」だった。

 序盤は新生中京のテーマである足を使った機動力も交えて試みるが、うまくいかない。四回の攻撃を前に中村が強く呼びかけた。「低い打球をもう一度、徹底しよう」。氏家雄亮監督が機動力同様、磨いてきた送りバントに切り替える戦術も奏功し、低い打球の徹底で大量得点。11―0の六回コールドで好発進した。

 「次につながる、いいスタートが切れた」と語る新主将。もちろん目指すのはベスト4に輝いた2019年以来の夏の甲子園だ。