岐阜県羽島郡笠松町の「みどり美容院」は、笠松刑務所の塀の中にある。技術を磨いた受刑者が一般客の散髪やカラーなどを手がけており、常連客も多い。出所するまでの間、外の人と関わり、社会復帰への手応えを得る貴重な機会になっている。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」店の扉を開けると、白を基調とした明るい空間が広がる。一見すると街の美容院と変わらない。ただ、入り口には刑務官の姿があり、入り口は常に施錠されている。女性客のみが利用でき、男性客は利用できない決まりもある。
「どんな感じにしましょう」。受刑者が優しく女性客に話しかけ、手際よく髪を切っていく。時々「今日は暑いですね」と会話をしながら進めていく。料金はカットとブローで1000円、カラーも2200円からと格安だ。新型コロナの感染が拡大してからは、人数制限を設けているが、口コミなどで広がり、東京や千葉から訪れる人もいるという。
現在担当の受刑者は1人で、予約がないときはマネキンを使い練習を重ねている。ファッションによって髪型の流行も移り変わっていくが、専門誌やテレビなどで情報収集をし、研究を怠らない。「きれいになって帰られるときの笑顔がとてもうれしい。やりがいにつながっている」と担当の受刑者は話す。年齢層の高い利用者が多いが、最近では10代の利用者もいるといい、幅広い年代が利用する。「家族の方が以前利用していて、それで知って来てくれた18歳の方もいる。技術をもっと高めたい」と受刑者は話す。
美容師としての勤務は、懲役刑の受刑者に義務として課せられる刑務作業。美容師免許の取得には、最低でも2年かかるため、比較的刑期の長い受刑者が対象となる。収入は、客数に関係なく受刑者には毎月定額の「作業報奨金」が出所時に支給される。
法務省によると、同様に一般客が利用できる刑務所内の理容室や美容院は全国に5カ所あり、美容院は笠松刑務所に加えて、栃木刑務所や和歌山刑務所に設けられている。男性が利用できる理容室は北海道の函館少年刑務所、埼玉県の川越少年刑務所の2カ所にある。笠松刑務所の門馬勉調査官は「自由を制限するだけではなく、改善、更生するためにも外と関わる機会を持っていきたい。塀の中と外ではギャップが大きい。そのギャップを緩やかにするためにも、社会に貢献しているという実感は大切」と話した。














