児童虐待の相談・通告が増える中、岐阜県と県警、岐阜市は来春、組織の垣根を越えて職員や警察官が同じ建物のワンフロアに常駐し、連携を密にして対応に当たる新たな拠点を岐阜市子ども・若者総合支援センター(エールぎふ、同市明徳町)に開設する。うち岐阜圏域を管轄する児童相談所に当たる「県中央子ども相談センター」の職員と県警少年課の職員が同じ部屋に詰める方針で、関係者によると全国で初の事例となる。

 物理的な距離を縮めることで情報共有のタイムラグを減らし、関係機関の間で認識に差異が生まれがちな緊急性や重大性の見極めを迅速化する。

 エールぎふは子どもや若者が抱えるあらゆる悩みや不安の相談、児童虐待にワンストップで対応するため2014年に岐阜市が設置した。新拠点には市教育委員会の職員の席も設ける方針。

 県によると、5カ所ある県子ども相談センターが20年度に児童虐待として対応した件数は2268件。本年度も同様のペースで件数が伸びており、過去最多となった19年度以降、高止まりしている。

 対応件数増加の背景には、虐待事件への関心の高まりがあるとみられる。18年に東京都目黒区で5歳女児が衰弱死したほか、19年に千葉県野田市で小学4年の女児が虐待死するなど、子どもへの虐待事件が全国で相次いで発覚。県内でも家族や親戚などからの相談・通報、警察や学校など関係機関の連携強化による通告が増えているという。

 対応件数の内訳は心理的虐待が最も多く約半数に上り、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」も目立つ。身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)、性的虐待が続く。

 地域別は人口とほぼ比例しており、対応件数の約半分が岐阜圏域。岐阜市だけでみると県全体の約4分の1を占めている。

 県と県警、岐阜市はこれまでも合同訓練や講習を実施するなど連携を深める取り組みをしてきた。今夏には被害児童の負担軽減を図るため捜査機関と児童相談所が事前に協議して代表を決め、子どもに一度だけ被害状況について尋ねる「代表者聴取(協同面接)」を積極的に取り入れていこうと、合同での研修会を全国に先駆けて開催している。