パドック前で整列し、笑顔の佐藤友則騎手(左)と筒井勇介騎手

 8月も猛暑続きだが、高原シリーズからくろゆり賞シリーズへと続く笠松の夏競馬は真っ盛り。先行馬がいつも以上に有利な馬場傾向で、スピード競馬を堪能できる。馬券も当たって、おいしいグルメを味わいながら喉を潤せれば最高だ...。場内ではサマーイベントもにぎやかに開かれ、13日にはJRAのミルコ・デムーロ騎手らがトークショーで来場する。

このところ絶好調の筒井騎手。今年はリーディングの座も狙えそうだ

 ジョッキーでは、このところ絶好調の「夏男」筒井勇介騎手の勢いが止まらない。リーディングのトップを快走しているのは佐藤友則騎手で96勝(8月3日現在)。昨年、笠松で3位(99勝)だった筒井騎手は、今年79勝を挙げて2位につけている。

 筒井騎手は高原シリーズ前半戦で1日4勝、5勝の固め勝ちもあって7月に17勝。6月までの佐藤騎手との26勝差を、17勝差まで縮めて猛追。トップの背中が見えてきた。2月には地方通算900勝を達成した筒井騎手。「900という数字は通過点。今年中に区切りとなる1000勝ができればいい。リーディングの順位も上げたいですね」と意欲を示していた。

2年連続リーディングの佐藤騎手。近く南関東での短期騎乗にも挑戦する

 佐藤騎手は、笠松開催日にも園田の重賞に参戦したりして、全国区での活躍。8月27日からは2カ月間、大井など南関東での短期騎乗に初めてチャレンジするため、笠松を留守にする。「笠松復帰は11月で、実質3カ月近く地元で乗れなくなるから、(リーディングは)どうかな。それでも大井など全国の競馬場での騎乗は『財産』になるからね」と、笠松での3年連続リーディングには、こだわらない口ぶりだった。

 追い上げる筒井騎手にとっては、初めてとなるリーディングの座への大きなチャンスが巡ってきた。順調に白星を積み重ねれば、エース不在の間にトップを奪取。11、12月に笠松へ戻ってきた佐藤騎手が追い掛ける展開になるのでは...。

 佐藤騎手は今夏、各地方競馬のリーディングら14人による「ジョッキーズチャンピオンシップ」にも笠松代表として出場した。第1ステージ(盛岡)で11着と5着、第2ステージ(浦和)では7着と6着に終わり、総合では8位。世界の名手が腕を競い合うJRA「ワールドオールスタージョッキーズ」への出場の夢は来年以降に持ち越された。筒井騎手も今年はこのシリーズのワイルドカード(佐賀)を経験。2着、9着(総合4位)で上位2人には残れなかったが、今年のリーディングを奪って来年は本戦出場を果たしたい。

地方競馬通算2700勝を達成し、喜びの東川公則騎手と息子の慎君(騎手候補生)=笠松競馬提供

 ベテランでは、東川公則騎手が張り切っている。息子の慎君が、来春の騎手デビューを目指して笠松で競馬場実習に励んでおり、父親として模範となる騎乗ぶりを披露。ラブミーチャンの長男ラブミーボーイ(牡3歳)に騎乗し、6馬身差で2連勝。ともに2番手からの力強い競馬で若駒を勝利に導いた。そのラブミーボーイで飾った地方競馬通算2700勝を祝う記念セレモニーでは「3000勝を目標にして頑張ります」と意欲。騎手候補生の慎君は「祝2700勝」のボードを手に「父親のような騎手になりたいです」と、笠松で一緒のレースに騎乗できる日を夢見ている。

ハイレベルだった第1回ぎふ清流カップの熱戦。このレースをステップに、東海ダービーではビップレイジングが優勝し、ウォーターループが3着と活躍した

 重賞レースでは、今年新設された「ぎふ清流カップ」(3歳オープン)がハイレベルだった。5着に敗れたビップレイジング(藤原幹生騎手)が、笠松勢では8年ぶりとなる東海ダービーを制覇し、3歳世代のトップに立った。清流カップ優勝のウォーターループは東海ダービー3着、6月の笠松・クイーンカップで2着と健闘した。

 大化けしたのが清流カップ2着だったクルセイズスピリツ。名古屋から大井に移籍後、3歳重賞・優駿スプリントを制覇。続く、習志野きらっとスプリント(船橋)では2着と活躍。このレースを3連覇したラブミーチャンと同じサウスヴィグラス産駒で、ダート短距離での能力の高さを示した。このほか、園田の牝馬フセノラインは清流カップ4着後、クイーンカップで栄冠を射止めた。木之前葵騎手が騎乗して6着だった名古屋のバジガクアリアは、その後も笠松を主戦場にして活躍している。

 近年、レース賞金の低さもあって、笠松の競走馬のレベルは低下傾向にあったが、清流カップでは、遠征馬を含めて伸び盛りの3歳馬たちが躍動。東海公営クラシック第1弾の駿蹄賞(名古屋)と並ぶレベルで、若駒たちの熱戦となった。来年以降も東海ダービーの前哨戦として注目され、初夏の笠松を彩る名物レースになりそうだ。

笠松競馬サマーイベントでは、ミルコ・デムーロ騎手のトークショーも開かれる

 16日に古馬重賞・くろゆり賞が開催されるシリーズのサマーイベントでは、家族連れでの来場が期待され、夏の大抽選会やミニチュアホースふれあい体験(15日)、ミルクスイーツフェスタ(16日)などお楽しみが盛りだくさん。競馬ファンには調教見学会(12日)やバックヤードツアー(13、15日)も開催される。清流ビジョン近くでバーベキューが楽しめる「馬場BBQ」は9月末までの水曜、金曜日の夕方から開かれている(詳しくは笠松競馬ホームページ参照)。

 今年もJRAリーディングのトップを争うミルコ・デムーロ騎手は13日に笠松来場。昨年4月には笠松で騎乗して、集客力を発揮してくれた。今回はレースには出場しないが、オグリキャップ像近くの特設ステージでのトークショーに登場する(午後2回)。長谷川満さんが司会を務めるが、外国人ジョッキー1人では日本語にやや不安もあるため、笠松ではJRA交流戦などで今年6勝を挙げて相性抜群の川又賢治騎手(JRA)も参加。笠松ならではの突っ込みトークで、サポート役に務めてくれそうだ。来場者には、ミルコ騎手のサイン入りグッズのプレゼントがあるかも...。

 今年4月のオグリキャップ記念では安藤勝己元騎手が来場して、軽妙なトークショーと予想会を開いてくれた。1日には大井(ナイター)でトークショーに参加し、地方最多勝記録に迫った的場文男騎手への応援馬券も買ったというミルコ騎手。笠松では、競馬場の雰囲気のギャップを感じながら、どんな「ぶっちゃけトーク」が飛び出すか、楽しみにしたい。