開発中の「AI技術伝承システム」の画面=各務原市金属団地、樋口製作所

 自動車部品、金型製造の樋口製作所(岐阜県各務原市金属団地、樋口徳室社長)は、生産性や製品品質の向上、従業員育成などを目的に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。開発したプラットフォームを活用し、各部署のデータの全社共有に加え、金属加工に関する学習コンテンツ「ヒグトレ」のネット販売を今月から開始。熟練技術者のノウハウをシステム化して若手技術者に還元する「AI技術伝承システム」の開発も進めており、来年夏ごろに本格運用する。

 DXの推進は、生産現場とシステム開発を横断的につなぐ「ブリッジエンジニア」担当の従業員や、社外からの派遣システムエンジニアら10人で構成するプロジェクトチームが担う。昨年1月に本格的に着手し、社内各部門のソフトウエアからデータを集め、受注から製品出荷までの情報をリアルタイムで全社共有できる社内プラットフォームを導入。生産設備可動率が8・5%、間接部門作業効率が9・5%向上したほか、工程不具合による損失を40%減らすことに成功した。

 「ヒグトレ」は他社の従業員向けの教育事業として展開。機械加工、機械検査、機械保全の計9コースを用意し、工業高校で学習する内容の動画、演習問題を提供する。技能検定の対策ができるツールとしてPRを強化する。

 開発中の「AI技術伝承システム」は、属人化している熟練エンジニアのノウハウをシステムに集約。システムから出力される最適な方法を若手エンジニアが参考にすることで業務を円滑化し、教育に要する時間も大幅に削減できる。

 DXの取り組みは、政府の2020年度「ものづくり白書」で紹介された。今後は、さまざまな業種の企業向けにDXを取り入れるサポートサービスにも乗り出す方針。