岐阜県内に住む外国人が増える中、県警は外国人向けの相談や会話で「やさしい日本語」を使う取り組みを進めている。今年4月に外国人対応の専門の係を設けたほか、全署の代表者らに専門の研修を行い、スキル取得のための取り組みを始めた。県警国際捜査課の担当者は「在留外国人を犯罪の被害者にも加害者にもさせてはいけない。これからの時代に必要なスキルだ」と強調する。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」◆分かりにくい表現を避ける
「いつごろ財布を無くしたと気づかれましたか」。若手警察官にそう尋ねられたネパール人男性は、眉をひそめた。様子を見た警察官は数秒間考え込んだ後「いつないと分かりましたか」と言葉をひねり出した。男性の表情は和らぎ、時間を答えるようになった―。
7月中旬、同課が県警察学校(関市希望ケ丘)で開いた研修会。今年冬に警察署に配属された初任補修科生が、本巣市と大垣市にある日本語学校「スバル学院」の生徒を相手に、落とし物の相談を受ける練習に臨んだ。
「やさしい日本語」では、「避難する」を「逃げる」とするなど、漢語や敬語などの日本語を簡単な和語に言い換え、二重否定など外国人にとって分かりにくい表現を避ける。阪神淡路大震災をきっかけに、外国人に情報を伝えるため考えられた。
一方、いざ言い換えようとすると難しく、使いこなすには場面に応じた言葉を選ぶスキルと訓練が求められる。警察学校での研修では、若手警察官らは試行錯誤したり、同僚のやりとりを聞いたりしながら、ふさわしい言葉がけを見つけていた。終了後には「外国人には英語で接するのが当然だと思っていた。日本語で接する方が、受け取りやすいこともあると分かった」といった声が上がった。
◆在留外国人数は過去最多
出入国在留管理庁によると、2022年12月末時点の岐阜県内の在留外国人数は6万2710人と過去最多を記録。リーマンショックや新型コロナウイルスの影響で一時減少傾向となった時期を除き、ほぼ右肩上がりで推移している。
警察官の外国人対応の機会も増加傾向にある。県警国際捜査課によると、県警には外国人による110番が多く寄せられるほか、刑事事件や生活相談に関する外国人対応に追われている署や交番もある。
外国人増加を受け、警察庁は19年、全国の警察組織へ在留外国人の安全確保に向けた通達を発出。県警は今年4月に国際捜査課に在留外国人総合対策係を設置した。今年6月には本部全所属と県内全22署の代表者を集めた研修会を実施。今後も県の担当課と連携しながら、浸透を図る。
◆やさしい日本語は気遣いの問題
こうした県警の対応に、NPO法人美濃加茂国際交流協会の武田由美事務局長は「行政手続きの日本語が外国人にとって分かりにくい場合もある。警察が外国人に歩み寄った対応をしてくれるのはありがたい」と歓迎。蕨野孝同課次席は「分かりやすい言葉を使うことで事案の対応がスムーズになる。県警と外国人の双方にとって利点がある」と意義を強調し、「やさしい日本語は気遣いの問題でもある。多文化共生が叫ばれる中、どう外国人と寄り添うのかを考える必要がある」と話していた。










