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[県内有力カヌー選手]高校年代トップ選手を紹介!

「清流の国」と呼ばれる岐阜県はその名の通り、県内各地に多くの清流があります。

2012年に岐阜県で開催された国体では、揖斐川がカヌーのスラローム競技会場になりました。そんな揖斐川町出身の二人の高校生が同年代のスラロームトップ選手として活躍。それが國枝直紘(大垣南高校1年)さんと井口花恋(大垣北高校1年)さんです。

また、県内で唯一カヌー部がある八百津高校には、同部の2年生でカヌー競技のスプリントで昨年、U‐16日本代表に選出され、全国高校総体に2年連続で出場している野田陸斗さんが活躍をみせています。

そんな県内の高校年代トップカヌー選手3人を紹介します。
 

國枝 直紘 スラローム
●大垣南高校1年
揖斐川町出身。谷汲中学校卒業。本年度は、国体東海ブロック大会(揖斐川特設競技場)の成年男子スラロームカヤックシングルで2位。8月の日本カヌースラロームジュニア選手権では男子カヤックシングルで優勝。その他にも22年度カヌースラローム・次世代有望選手に選定。23年度ジュニア日本代表・B指定選手。
 

井口 花恋 スラローム
●大垣北高校1年
揖斐川町出身。北和中学卒業。中学3年時に成年女子スラロームカヤックシングルで国体に出場。高校生になった本年度も国体東海ブロック大会(揖斐川特設競技場)の成年女子スラロームカヤックシングルで2位となり、2年連続で国体出場を決める。22年度カヌースラロームではジュニア日本代表・B指定選手。
 

野田 陸斗 スプリント
●八百津高校2年
八百津町出身。八百津中学卒業。高校1年時にU‐16日本代表として「オリンピックホープス」(スロバキア)と「アジア・パシフィック・スプリント」(石川県)の2つの国際大会にカヤック・シングル1000㍍で出場。今年の4月にはアジア大会(ニュージーランド)に出場。全国総体には1年時から2年連続で出場している。
 

CANOE SLALOM(カヌースラローム)

■カヌーを始めた時期ときっかけを教えてください。

國枝/小学3年生の夏休みに、揖斐川でのカヌー体験教室に参加したことがカヌーを始めたきっかけです。小学4年生になって、ジャパンカップ出場に向けてしっかりと練習をするようになったころから、競技に本格的に取り組むようになりました。

井口/小学3年生の時に、3歳年上の姉が夏休みにカヌー体験教室に参加したのについていったのがカヌーとの出会いでした。姉が本格的にカヌーに取り組むようになって、練習についていったら自分もやってみたくなり、小学5年生くらいからカヌーを始めました。

■普段はどこでどういった練習をしているのですか?

國枝/普段は主に揖斐川で個人練習をしています。カヌー体験教室の時に教えてもらった加藤哲平さん(岐阜県カヌー協会事務局長&国体に出場する現役選手)には、土日などに指導してもらっています。また、揖斐川にカヌーをしに来る大人の人たちにアドバイスをもらうこともありますね。

井口/揖斐川で土日を中心に練習をしています。加藤哲平さんの指導を受けたり、國枝君と一緒に練習もします。一つ一つの動作を素早く行うことを徹底していて、アップゲート(下流から上流に通過するゲート)ではゲートから離れて漕ぐ時間が増えないようにすることを意識しています。

■カヌー・スラロームの魅力ややりがいについて教えてください。

國枝/スラロームはさまざまなターン技術を使い分けます。それを考えながらコントロールする技術を極めることで、誰よりも速くなれるところに魅力を感じます。ミスをした後にどうすべきか考えることも楽しいです。また、カヌーを通して県外の人ともつながりができて、声を掛けてもらえることもうれしいですね。

井口/カヌーを始めた当初は全然うまくできなかったことが、今ではうまくできるようになったことが増え、それを周囲にも喜んでもらえるのがうれしいですね。カヌーをしていると全国各地の川に行くのでさまざまな年齢の人たちと出会い、私生活のことまで話せる関係性を築けることも魅力の一つだと思います。

■今後どういったカヌー選手になっていきたいですか?

國枝/理想のカヌー選手は、(日本代表選手の)田中雄己選手(中津川市出身&中京高校卒業)です。カヌーの技術のすごさはもちろんですが、自分がカヌーを始めた時から自分のことをよく見ていてくれて、昔から自分の大先輩に当たる人です。いつか一緒に海外の大会などを回りたいです。

井口/憧れのカヌー選手は加藤哲平さんです。パワーではなく、コース取りなど技術面のうまさで勝っているところがすごいです。自分もパワーがあるタイプではなく、技術面をもっと伸ばしたいと思っているので。哲平さんの社交的で、いつも周囲に人が集まる人柄も尊敬しています。

 

CANOE SPRINT(カヌースプリント)

■カヌーを始めた時期ときっかけを教えてください。

野田/小学5年生時に母の勧めでカヌー体験教室に参加したことがきっかけです。カヌーを漕ぐ心地良さや景色の優雅さに惹かれました。それから中学まで八百津ジュニアカヌークラブで競技に取り組むようになりました。カヌーを始める前は水泳をしていて、全国大会にも出場したことがあります。

■普段はどこでどういった練習をしているのですか?

野田/蘇水公園(八百津町)でカヌー部のみんなと練習しています。土日の練習ではカヌー部のOBで、県の国体代表選手でもある木村翔也コーチの指導を受けています。一緒にカヌーに乗った状態で指導してもらえるので、その場でアドバイスをいただけて本当にありがたいです。陸上トレーニングでは、蘇水公園の周囲を走ったり、ウエイトトレーニングなどをしています。

■これまでに出場してきた試合や印象に残っていることは何ですか?

野田/昨年、U-16日本代表として出場した、スロバキアでの国際大会「オリンピックホープス」が印象に残っています。初めての世界大会でとても緊張しました。海外の選手たちと戦うことで大きな刺激を受けて、自分はまだまだ実力が足りないと痛感しました。

■カヌー・スプリントの魅力ややりがいについて教えてください。

野田/風を切って走るスピードの速さが気持ちいいです。試合で負けた相手と再戦して勝てた時は本当にうれしくて練習の成果が報われたと思えますし、課題を持って理想の漕ぎ方に近づけていく過程にもやりがいを感じます。

■カヌー選手としての自分の強みや得意なことは何ですか?

野田/バランス感覚に自信があります。レースで風が吹いていたり、水面が荒れていたりしても、軸がぶれずにしっかりとカヌーを漕げるところが自分の強みです。

■これからの目標や、将来の夢についてお聞かせください。

野田/自分の世代に強い選手がたくさんいるので、その中でトップに立ちたいです。今年は世界大会(年代別)の選考会で僅差で負け、出場権を逃しました。その悔しさを晴らしたいですし、将来は五輪に出場したいですね。
 

カヌーの競技について
カヌーには複数の競技がありますが、五輪の正式種目となっているのが「スプリント」(12種目)と「スラローム」(4種目)の2競技です。

【スプリント】
静水面で一定の距離を複数の艇で一斉にスタートして着順を競い合います。◎1人乗り、2人乗り、4人乗りがあります。

【スラローム】
流れのある川の上流から下流までに吊るされたゲートを通過する技術と、スタート地点からゴールまでのタイムを競い合います。ゲートに接触したり、ゲート不通過になると、減点ポイントが課され、タイムが加算されます。◎1人乗りと2人乗り(※五輪は1人乗りのみ)があります。

艇の型とパドルが違う「カヤック」「カナディアン」
スプリントとスラロームでは、艇の型が「カヤック」と「カナディアン」の2種類があり、ボートと違って漕ぎ手が進行方向を向いて艇を漕ぎます。

【カヤック】
漕ぐ人は長座(足を伸ばして座った状態)でカヌーに乗り、両端に水掻き(ブレード)がついたパドルを左右交互に漕ぎながら進みます。

【カナディアン】
漕ぐ人は立ち膝の姿勢を取り、片方だけにブレードのついたパドルを使います。スプリントでは片方のみを漕ぎながら前に進み、スラロームでは左右のどちらかのみを漕ぎながら進みます。2016年のリオデジャネイロ五輪で、男女を通じてカヌー競技日本人初のメダル(銅)をスラロームで獲得した羽根田卓也選手は、カナディアンに乗っています。