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複数のポジションがあり、さまざまな役割を担う団体スポーツ。

中でも団体球技では「司令塔」と呼ばれ、試合での攻撃の組み立てが主な仕事となる選手がいます。

各競技で求められるスキルなどは違いつつも、性格やメンタル、プレーする際に意識していることには共通点が多く見受けられます。

今回はさまざまなスポーツの中で「司令塔」の任務を担う県内有力選手を、競技別で紹介します。

【サッカー】

帝京大学可児高校
可児市桂ケ丘1-1 ☎0574-64-3211

𠮷兼 伶真 さん [3年]
 ミッドフィールダー(MF)・ボランチ 

2年時からレギュラーとして活躍!!

【Q】現在のスポーツを始めたきっかけは?また、現在のポジションとなった経緯は?
兄や友達がサッカーをしていた影響で、幼稚園の年長から始めました。ポジションは小中学生の時からずっとボランチです。

【Q】司令塔としての自分の強みや得意なプレーについては?
ボールをしっかりと運べて、仲間に良いパスを出せるところです。ボールを受けた者が、より良いプレーができるパスを出すことを常に心がけています。自分は高校1年時からトップチームでプレーしていることもあってスピード感には慣れていて、強豪校が相手でも対応できます。

【Q】司令塔として大事にしている心がけは?
プレーでチームを引っ張ることはもちろんですが、コミュニケーションを取って仲間を動かすことを大事にしています。ピッチ内でチームが目指すサッカーをするために、要求すべきことはしっかりと要求します。

【Q】司令塔の魅力ややりがいとは?
司令塔としてのやりがいというよりは、チーム全体を活性化させ、試合で良い結果を出せた時がうれしいです。負けるよりも勝って成長したいので。

【仲井正剛監督 評価】
運動量が豊富で、苦しい時に頑張れる選手。試合で負けていて、体力的にも限界に近い状態でも力を振り絞れる。(司令塔としては)ボールキープ力があって、相手からボールを奪われない。サッカーについてよく考えていてサッカーIQも高く、頭を使ったプレーができる選手。
【取材MEMO】
試合での立ち振る舞いから伝わる司令塔としての姿

2月の松本国際高校との練習試合。𠮷兼君のポジショニングが良いからか、攻守の両方で味方から「伶真ナイス!」との声がよくあがりました。試合は帝京大可児高が優位に立ち、前半を終えて相手をリード。それでも𠮷兼君はハーフタイムのベンチで、チームメイトに積極的に声を掛け、より良いポジショニングをしっかりと確認する姿が印象的でした。

 

【バレーボール】

県立岐阜商業高校
岐阜市則武新屋敷1816-6 ☎058-231-6161

外山 諒峨さん [3年]
 セッター 

スパイカー、リベロを経てセッターへ

【Q】現在のスポーツを始めたきっかけは? また、現在のポジションとなった経緯は?
両親がバレーボールをやっていた影響で、小学3年生ぐらいから地域(土岐市)のジュニアチームで始めました。中学では学校にバレー部がなかったので、瑞浪市のクラブチームでプレーしていました。ポジションは中学までずっとスパイカーで、高校入学後にリベロにコンバートされました。セッターを務めるのは3年生が引退して新チームになった高校2年の終盤からです。

【Q】司令塔としての自分の強みや得意なプレーについては?
速い動きから攻撃を組み立てるのが自分の持ち味です。(セッターに返ってきた)ボールが難しい位置にあってもしっかり対応して攻撃を仕掛けます。

【Q】司令塔として大事にしている心がけは?
試合中はチーム全体が崩れないように、冷静にやるべきことを考えています。自分がそれを徹底することで、仲間に的確な指示が出せるので。コート全体を広い視野で見て、状況を把握することも大事です。また、自分は主将でもあるので、チームのまとめ役も担います。

【Q】司令塔の魅力ややりがいとは?
セッターはスパイカーのように目立つポジションではありませんが、影でゲームメイクをしてチームを勝利に導くところに魅力を感じます。

【辻裕作監督 評価】
バレーに関するセンスが優れていて、視野が広い。小柄だが身体能力は高く、足も速い。元々リベロなので、後衛に回った時の守備に安心感がある。トスの技術をもっと磨いて、セッターとしての基礎的な部分をもっと高めてほしい。
前主将でセッターの野田拓臣さん(2023年卒業)から見た「セッター・外山諒峨」は?
自分は堅実に攻撃を組み立てて味方にしっかり打たせるタイプでしたが、外山君は攻撃の組み立ての感性が良く、トス回しに関しては自分より上だと思います。どの攻撃をどのタイミングで使うべきか判断する能力が高いです。

 

【ホッケー】

岐阜各務野高校
各務原市鵜沼各務原町8-7-2 ☎058-370-4001

池戸 結希さん [3年]
 ミッドフィールダー(MF)・左インサイドハーフ 

高校からホッケーを始めU-18日本代表に選出

【Q】現在のスポーツを始めたきっかけは?また、現在のポジションは?
小学校では野球、中学ではバレーボールをしていたのですが、岐阜各務野高校でフェンシングをしていた兄からホッケー部を勧められたんです。各務野は高校からホッケーを始める子も多いと聞き、やってみようと。ポジションはMFで、左インサイドハーフとしてプレーしています。

【Q】選手としての持ち味や、プレーの際に心がけていることは?
運動量には自信がありますが瞬発力はないので、相手よりも先に動き出すことを大事にしています。経験が浅くドリブルの技術は低いので、自分から仕掛けるよりは素早くパスを出して空いたスペースに素早く入るなどして、次への動き出しを意識したプレーをします。

日本代表経験者でU‐21でも主力選手として活躍!平光杏衣さん(2023年卒業)から見た「池戸選手」は?
トラップミスがなく、プレーが安定しています。自分と一緒にプレーしていた時の池戸選手は左インサイドで守備主体のプレーが多く、攻撃では味方のシュートのこぼれ球を常に狙うのが主な仕事でした。左サイドから右サイドに大きく展開するパスをもっと出せるようになれば攻撃の幅が広がり、もっと良いプレーができると思います。

●司令塔としての平光さんのプレースタイル
ドリブルかパスの判断を瞬時に下し、巧みに攻撃を組み立てられるのが平光さんの持ち味です。ドリブルでは巧みなスティックさばきで相手の守備を突破。広い視野を生かし、そこに走り込めばフリーになるという場所を瞬時に見つけ、速く正確なパスを出します。

【取材MEMO】
ボールを持っていない時の動きが秀逸!

高校からホッケーを始めたにもかかわらず、オフザボールでの巧みなポジショニングや、周囲を見渡す視野の広さを感じさせるプレーを随所で見せる池戸さん。そういうプレーができる理由を「(バレーの)セッターとしての経験が視野を広く保つことに役立っている」と言います。

 

【野球】

大垣日本大学高校
大垣市林町6-5 ☎0584-81-7323

日比野 翔太さん [3年]
 捕手 
北村 琉翔さん [3年]
 捕手 

日比野翔太(左)&北村琉翔(右)

甲子園出場校の捕手2人に聞く

【Q】現在のスポーツを始めた時期と現在のポジションとなった経緯は?
日比野/小学1年生の時に地元(養老町)の少年団で野球を始め、中学では硬式野球のボーイズリーグ「西濃ボーイズ」でプレーをしていました。野球を始めたころのポジションはショートでしたが、中学2年の秋に捕手にコンバートされました。
北村/小学1年生の時に地元(海津市)の少年団で野球を始めました。小学4年生の時はセカンドを、5年生時はショートを守っていましが、6年生からはずっと捕手です。中学の野球部では投手も兼任していました。

【Q】配球の組み立てなど司令塔の役割を担う捕手としての自分の強みは?
日比野/自分はキャッチングが得意で、配球は試合の状況を読み、相手バッターのスイングや球の見逃し方などを観察しながら組み立てます。ブルペン時から(仲間の)投手をよく見てしっかりとコミュニケーションを取り、調子のよい球を要求します。
北村/捕手としての技術というよりも、チームがピンチの時に周りを見て、声をかけられるところが自分の良さだと思っています。配球は試合中のイニング間に投手と話し合い、相手バッターのスイングをチェックして組み立てます。

【Q】試合での心がけや、捕手のやりがいなどについては?
日比野/試合で負けていても逆転できると信じて状況を一つ一つ整理して、どうすべきかを仲間に伝えます。また、主将として部を引っ張っていく立場でもあるので、率先して声を出し、行動で示すことを大切にしています。
北村/試合では常に冷静でいるようにしています。相手バッターを(フルカウントに)追い込んで変化球で三振を取れた時は、投手と一緒になって喜べて、最高の気分になれますね。

【取材MEMO】
ライバルでありお互いを高め合う関係

「日比野君はライバルですが、自分からも彼からも聞きたいことを聞ける関係で、お互いを高め合っています」と言う北村君。甲子園に向けてのある練習試合で、先発捕手として北村君が出場する中、日比野君が試合途中のグラウンド整備の間、荒れたホームベース周辺を入念にならしていました。自分にできることをしっかり行う姿が目に焼き付きました。

 

【バスケットボール】

美濃加茂高校
美濃加茂市本郷町7-6-60 ☎0574-26-7181

福田 玲生さん [2年]
 ポイントガード(PG) 

兄・瑠生に続き強豪校の司令塔へ

【Q】現在のスポーツを始めたきっかけは?また、現在のポジションとなった経緯は?
父親が高校までプレーをしていたので、バスケットは幼少期から身近な存在でした。本格的に始めたのが小学1年生で、3歳年上の兄がプレーしていたクラブチームに入りました。小学生の時はポジションを気にせずプレーしていましたが、中学からはずっとPGです。

【Q】司令塔としての自分の強みや得意なプレーについては?
視野の広さを生かしたパスが一番得意なプレーです。チームメイトが簡単に点を取れるパスを出します。ゲームメイクが自分の仕事ですが、仲間とのコンビネーションから自分も得点することを意識しています。

【Q】司令塔として大事にしている心がけは?
してほしい動きを仲間にしっかりと伝えることを大事にしています。要求するだけじゃなく、味方からの要求も聞きます。そのために練習では学年に関係なくコミュニケーションを取るようにしています。また、パスをする相手を見てしまうと守備側が予測しやすいので、高校入学後はできるだけノールックパスを出すようにしています。

【Q】司令塔の魅力ややりがいとは?
自分のパスで仲間が得点するとうれしいですし、PGとして仲間と連携を図ることにやりがいを感じます。

【取材MEMO】
理想の選手は実の兄である福田瑠生!

「兄のプレーが好きですし、日常生活での振る舞いから見習っています」。福田玲生君に好きな選手を聞くと、兄の瑠生さんの名前をあげました。瑠生さんは美濃加茂高校のOBで、玲生君と入れ替わる形に。瑠生さんのことも高校ダイアリー(21年冬号)で取材したことがあり、ポジションはPGでした。アシストパスを得意とし、練習中は自分から積極的にチームメイトとコミュニケーションを取る姿が印象に残る選手で、玲生君が尊敬するのも納得です。瑠生さんは現在、関東の大学でプレーを続けています。今後、兄弟そろっての活躍に期待しています。

 

【司令塔としての共通点
取材を通して競技は違えども司令塔と呼ばれるポジションの選手には次のような共通点がうかがえました

01 視野の広さ
グラウンド(コート)全体の様子を把握する視野の広さがある
02 連係プレー
仲間と連係するプレーがうまく常にそのことについて考えている
03 冷静さ
プレー中は常に冷静でいる状態を心がけ周囲を落ち着かせる
04 コミュニケーション力
伝えなければいけないことはしっかりと言葉にして伝え、普段の練習からコミュニケーションを取ることを大切にしている
05 察知する能力
自分が何をすべきかを察知する能力が高く、いるべき場所にいてやるべきことを行っている
   
これらの能力はスポーツで司令塔と呼ばれるポジションでプレーするのに必要な要素ですが、日常生活にも生かせます。

また、社会に出てからも職場で必ず役立つ能力です。

今回の取材で紹介した高校生たちが選手として活躍する姿はもちろん、各競技で培った能力を将来、社会人としてどう生かしていくかも楽しみになってきます。