2024年元日に発生した能登半島地震。最大震度7を観測し、石川県など北陸地方で多数の死者・行方不明者が確認されている。岐阜県内は高山市と飛騨市で震度5弱を記録した。地震に対して、岐阜県民はどのような備えをすべきなのか。岐阜大学社会システム経営学環の高木朗義教授は自宅の耐震化、水やカセットコンロなどの備えが必要と訴える。加えて強調するのが地域コミュニティーに関わることだ。

高木朗義教授=岐阜大
 高木朗義(たかぎ・あきよし) 1963年名古屋市生まれ、専門は土木計画学(まちづくり)。防災自己点検アプリ「減災教室」を開発するなど防災の観点で情報発信を続けている。

■家屋の倒壊は防げる

 地震で人が亡くなる要因は主に二つある。

 一つが建物の倒壊だ。2016年の熊本地震では地震による直接死のうち、8割近い38人が建物の倒壊による死亡だった。阪神大震災は約4800人が建物倒壊により亡くなった。地震対策の一丁目一番地は建物の耐震化だ。

 昭和56年に建物の耐震基準が変わり、その前は旧耐震基準と言われている。旧耐震基準で建てられた建物はどの市町村でも無料で耐震診断を受けられる。耐震性が低いと耐震改修工事の補助金がもらえる。耐震改修工事費が120万円未満の場合、補助金は工事費の90%になる。10万円ほどで120万円分の耐震改修工事ができる計算になる。耐震工事を安く抑える研究も進んでいる。こうした制度を使って、かなりの割合で家屋の倒壊は防げる。

 だが、この補助金はあまり知られていない。予算があっても申請が少ないと聞く。お住まいの市町村に対応窓口はあるので、問い合わせてほしい。

 また、家屋の倒壊は1階がつぶれることが多い。2階で寝ることで、就寝時に地震があって倒壊しても助かる可能性が高くなる。...