駅名で「なんとか前」とあれば、何らかの施設があるものです。ところが、「学校前」を名乗りながら、駅前に学校がない駅が、かつて岐阜県内にありました。可児市石井にあった「学校前駅」。一部の普通電車が通過する駅でもありました。駅の廃止から19年。不思議な駅を振り返ってみます。

学校前駅跡付近を走る電車=岐阜県可児市石井

 学校前駅があった路線は名鉄広見線。新可児駅から御嵩方面の隣の駅は、今では明智駅。みのひだ乗り物探訪の第9回で紹介した駅です。学校前駅は、新可児駅と明智駅の間にありました。

 新可児駅を発車した御嵩駅行きの電車は、可児川沿いの線路を走ります。河川敷には公園が整備されていて、対岸には可児市役所が見えます。ショッピングセンターの横を通り抜け、可児川の鉄橋を渡り、住宅や田園が広がる一帯にさしかかります。このあたりに学校前駅はありました。

学校前駅の待合室=2004年12月

 学校前駅は、道路沿いにホームのみがあるという構造の無人駅でした。「学校前」という名前ですが、駅の前に学校はありません。...