人の名前に同姓同名があるように、駅名にも同じ名前が存在します。岐阜県内には、二つの明智駅が存在します。可児市の名鉄広見線の駅と、恵那市の明知鉄道の駅です。両駅とも、実は開業時には別の名前でした。

二つの明智駅が岐阜県内にはある

 広見線の明智駅は、もともと「伏見口」という駅名でした。伏見は、可児川を渡った先にある御嵩町の地名。旧中山道の宿場町の一つ、伏見宿のある地域です。開業は1920年。このときの路線は、多治見から御嵩に至る「東濃鉄道」の路線でした。岐阜県東濃地域でバスを運行する東濃鉄道(東鉄バス)とは別の会社です。この路線はJR太多線の多治見―可児間と、名鉄広見線の新可児―御嵩口間の前身になります。旧国鉄・JRの在来線や名鉄線の線路幅1067ミリに対して、このとき開業した路線は762ミリ。線路幅や車両が小さい軽便鉄道でした。太多線となる区間の国有化や名鉄への統合などを経て、現在の名鉄広見線の姿になります。...