刀をイメージした反りが特徴の日本刀はさみ
戦国武将の愛刀モデルなど18種類のラインアップがそろう日本刀はさみ=関市東貸上、ニッケン刃物

 日本刀をイメージした反りのある2枚の刃と、さやに見立てたケース。「日本刀はさみ」は、刃物メーカーのニッケン刃物(岐阜県関市)が観光土産向けの商品として2015年に発売した。国内の歴史ファンに限らず、海外からの旅行者にも土産品として人気が高い。16年には「おみやげグランプリ2016」グッズ・ノベルティ部門でグランプリ・観光庁長官賞に輝いた。開発に関わった熊田祐士社長は「人気が出たことで、多くのマスコミに取り上げてもらえた。自分にとっては思い入れのある商品」と語る。

 商品化のきっかけは若手社員のアイデアだった。当時、製造部門の社員だった熊田社長が、若手社員と新商品の案を考えていたところ、一人が「日本刀のような形のはさみがあれば面白い」と提案。すぐに熊田社長がスケッチを描き、営業部門に持ち込んだ。既に社内では2枚の刃が同じ向きに反ったはさみの商品があり、「技術的には難しくなかった」と明かす。

 刃物のまちの企業として、クオリティーにもこだわった。持ち手の部分は、細かい模様を描けるように樹脂を採用。インターネットで刃紋やさやのひもを調べてデザインに取り入れた。約9カ月間かけてサンプルを仕上げ、東京都内のギフトショーに出展したところ、取引のない土産品のバイヤーから強い引き合いがあり、手応えをつかんだ。

 発売後は予想以上の売れ行きだった。発売から3カ月間は生産が追い付かず、在庫切れが続いた。生産体制も強化し、織田信長や徳川家康ら有名武将の愛刀をモデルにした新商品も次々と開発。ご当地限定の商品も含めるとラインアップは18種類に上る。

 日本刀はさみの人気は、社内の雰囲気も大きく変えた。もともとキッチンや事務用のはさみが主力のため、観光土産向けの商品には懐疑的な声もあったが、「若い社員の意見が通るようになった」と振り返る。

 日本刀はさみを皮切りに、日本刀の形をしたペーパーナイフなどアイデア商品を次々と発売。ワンピースや刀剣乱舞など人気のアニメやゲームとのコラボ商品も発売し、ユニークな商品を打ち出す企業イメージを定着させた。「新しいことに挑戦することは大事。これからも新商品を手掛けていきたい」と意気込む。