午前1時を回ってもはつらつと練習に励む岐阜アイスホッケークラブの選手ら=名古屋市港区、邦和スポーツランド
厳しい練習環境下でもひたむきに競技に取り組む岐阜アイスホッケークラブの選手たち

 激しい接触プレーから「氷上の格闘技」とも呼ばれ、スピード感あふれる展開が魅力のアイスホッケー。熱戦が繰り広げられる北京冬季五輪では、女子日本代表が準々決勝進出を果たすなど注目を集めた。岐阜県内には競技ができるリンクはないものの、男子で「岐阜」と名前が付いた、唯一のチームがある。「岐阜アイスホッケークラブ」だ。厳しい環境下でも、競技への愛情、情熱にあふれた選手がそろい、奮闘している。

◆岐阜県内のリンク閉鎖後も名古屋で練習

 12日深夜、名古屋市港区にある邦和スポーツランド。辺りはすっかり静まり返り、日付が変わろとしている頃、選手が続々と集まってきた。練習開始は13日午前0時10分。選手は眠気など一切見せず、シュートや試合形式の練習に黙々と汗を流した。練習が終わったのは午前2時前。主将の脇田正人さん(50)は「競技が好きだから続けられる」と笑う。

 脇田さんによると、クラブの発足は1970年ごろ。当時は羽島郡岐南町にあったアイススケート場で活動していたが、98年の閉館以降は、同スポーツランドを拠点に練習に励んでいる。以前は県内にも複数、競技に親しむことができるリンクがあり、多治見市や中津川市などにもチームがあったが、約25年前からは岐阜クラブが県内唯一のチームになったという。

 選手は現在17人。年齢層は20~50代と幅広く、岐阜県出身者をはじめ、県内在住、在勤者らが顔をそろえる。競技を始めた時期もばらばらで、幼少期から地元のチームで取り組んでいた選手もいれば、クラブに加入し本格的に始めた選手もいる。

◆深夜まで練習も「楽しい」

 練習は、施設の一般営業後で、さらに、アイスホッケーのジュニアチームやフィギュアスケートの練習も行われるため、早くて午後10時台から。この日のように、深夜に及ぶのが当たり前となっている。

 多治見市出身で、地元にあったクラブチームで高校生の時に競技を始めたチーム最年長の熊谷豊さん(57)は「若い頃は平気だったけど、さすがにきつい。でも他の球技などに比べて断トツにスピード感があって、本当に楽しい」と競技を続ける理由を語る。

◆モットーは「全員出場で勝利」

 チームは月に2、3回の練習に加え、愛知県の社会人リーグに参戦し、年間10試合ほどの公式戦を戦っている。モットーは「全員出場で勝利」することだ。脇田さんは「勝つことだけ考えて選手を固定してしまうと、出場できない選手は続かないと思う」と気を配る。熊谷さんは「年齢に関係なく、全員がフランクに付き合えるチーム」と語る。

 厳しい環境下で選手らが望むのは、岐阜県内に練習や試合ができるリンクが再び誕生することだ。監督で県アイスホッケー連盟会長の渡辺文喜さん(64)は「リンクがないと知名度も上がらず、ジュニアの育成も難しい。環境が少しでも整ってくれれば」と願う。