時代小説の舞台を所蔵する古地図で紹介している=岐阜市宇佐、県図書館

 活字が並ぶ小説の世界。物語の場面をイメージしながら読み進めるのが醍醐味(だいごみ)だが、知らない土地の物語は地図と照らし合わせながら読むと、その世界に一層入りやすくなる。そんな地図を使った読書の楽しみ方を、岐阜県図書館(岐阜市宇佐)が企画展を開いて伝えている。

 「江戸切絵図の世界-時代小説の舞台」と題した企画展。作家の池波正太郎、藤沢周平、宮部みゆき、佐伯泰英、浅田次郎、平岩弓枝の各氏が手掛けた江戸が舞台の時代小説11作品の主な場面と、その場面の場所を確認できる同館所蔵の江戸切絵図を、3月24日まで4期に分けて展示している。

 現在は2期目の「藤沢周平を歩く①」を今月24日まで開催中。藤沢の時代小説「用心棒日月抄」と「よろずや平四郎活人剣」を取り上げ、その時代に近い1860年前後の絵図を展示した。「よろずや-」では主人公が仲間に夜逃げされ、探しに行く場面の一節を紹介。蝋燭(ろうそく)町や関口町、新銀町といった地名が出てくるが、絵図を見るとそれらが現在の東京・神田辺りにあり、主人公がどう歩いたのかが分かる。

 担当する同館郷土・地図情報係の西村三紀郎さんは「地図を見れば、物語がどんな場所で展開しているのか一目で分かる。登場人物の足跡と実際の地図に矛盾がないので、作家も地図を見ながら執筆していたのだろう」と推測する。企画展では、江戸切絵図と照らし合わせたい時代小説のリクエストも募っている。