商品の陳列をする店主の栗本峻輔さん。「小麦だけでなく原油も心配」と話す=9日午後、岐阜市旦島中、栗本麺業

 ロシアによるウクライナ侵攻の影響が、岐阜県民の食卓にも及ぼうとしている。輸入小麦の政府売り渡し価格が9日、過去2番目の高値になると発表され、中国の家畜飼料の需要の高まりなどを背景とした昨年末の小麦仕入れ価格の高騰に追い打ちを掛ける様相となった。小麦製品を取り扱う県内の食品関連業者は警戒感を強めている。

 自家製麺の卸、小売りをする岐阜市旦島中の栗本麺業では昨年12月、小麦粉の仕入れ価格が25キログラムで約300円上がった。生麺や乾麺の小売りは、3月に商品1点(200~300グラム)につき一律10円値上げ。売り上げの9割を占める県内外の飲食店への卸価格は4月に上げる予定だ。

 店主の栗本峻輔さん(40)は、製粉会社からウクライナ侵攻による価格変動の連絡は今のところないとしつつ「材料があるだけまし。小麦が不足するのが一番怖い」と危機感を持つ。卸価格は企業努力で8年間据え置いてきたが、「今回ばかりは値上げせざるを得ない」と話す。大手食品会社の商品値上げが相次いで報じられ、顧客からは「仕方ない」と理解を得られているが「小麦に限らず、原油高は商品の配達、輸送コストに直結する」と先行きに不安を感じている。

 岐阜市加納栄町通のサカエパンは2月、8年ぶりに全品10~20円値上げしたばかり。社長の髙木芳継さん(58)は「毎日世界情勢を気にしている。小麦粉の仕入れ価格の値上がりは不可避」と厳しい表情。小麦粉だけでなく砂糖、乳製品、バターなど全ての原材料の価格が何年も前から上昇基調にあったが、パンは単価が安く商品価格に転嫁できずにいた。

 コロナで客数が一時減少したのが持ち直し、ようやく値上げに踏み切ったところで今回の政府の発表。髙木さんは国際相場への投機マネーの流入にも懸念を示し、「世界の流れは一個人ではどうにもできないが、せめて声を上げないと」と憤りをあらわにする。

 子どものパンを購入した市内の主婦は「パン屋以外にも定食屋などいろいろな店で値上げと聞く。食費は節約できる部分とできない部分がありやりくりが大変。戦乱がなければいいのに」と話していた。