木曽三川が流れ、海抜ゼロメートル地帯として知られる県最南端の海津市。約112平方キロと県内19位の広さに対し、耕地面積は約37平方キロと県内4位の広さを誇る。農地が全体の3分の1を占め居住を含めた土地の利用を考えると、市は広いようで狭い。
「広い農地を生かし、省力化と高効率化を進めている」。キュウリ農家の2代目古田憲隆さん(49)は、平田町の40アールの敷地でハウス栽培をする。畝の数を減らして肥料や資材の費用を抑え、日当たりを良くして品質を高めつつ、収量も維持。収穫もしやすく、土地を存分に活用している。
古田さんのハウスが建つのは、土地改良で給水のパイプラインと暗渠(きょ)排水が巡らされた農振農用地。市内の農地の94%を占め、生産性が高い半面、転用のハードルは高く、耕地面積は20年前の合併当時からほぼ横ばい。一方、農業従事者数は高齢化で2754人(2005年度)から1479人(24年度)と半減。意外にも、遊休農地は営農組合や法人による集約化が進み、約21ヘクタールから約10ヘクタールへと縮小した。古田さんは...