韓国・瑞山の浮石寺が保管する観世音菩薩坐像=17日(共同)

 長崎県対馬市の観音寺から2012年10月に盗まれ、韓国に持ち込まれた同県指定有形文化財の仏像について、韓国から日本側への引き渡しが来月10日を軸に調整されていることが23日分かった。複数の関係者が明らかにした。

 韓国での裁判で観音寺の所有権が認定された後、今年1月に書類上の返還手続きを終え、両国の関係者が物理的な返還の時期や手段を協議してきた。返還が実現すれば、日韓関係に悪影響を及ぼしてきた問題が、盗難から約12年半を経て解決することになる。

 日本側の関係者によると、仏像はいったん観音寺に戻された後、防犯上の理由から、同じ対馬市内の市立対馬博物館に運ばれて保管される予定。

 仏像は「観世音菩薩坐像」で、韓国当局が窃盗グループを摘発して像を回収した。しかし韓国の浮石寺が、数百年前に倭寇に略奪されたとして所有権を主張し、韓国政府に引き渡しを求めて16年に提訴。韓国最高裁が23年に浮石寺の上告を退け、観音寺の所有権が確定した。

 仏像は、今年1月の返還手続き後は「法要」のために浮石寺に貸与されている。