全日本空輸のグループ会社で空港の係員を務めていた元社員の男性が、乗客になりすまして欠航や遅延の補償金を約370件申請し、総額約800万円を不正に受け取っていたことが24日、全日空への取材で分かった。業務用端末を使って乗客の個人情報にアクセスし、補償の申請に必要なデータを入手していた。

 全日空によると、被害が確認されたのは昨年9月〜今年4月。男性は補償対象となる乗客の氏名や搭乗便、申請番号といった情報を得た上で、メールアドレスを自身のものに改ざんするなどして補償金を電子決済で受け取っていた。

 今年3月に乗客から「補償を申請できない」との問い合わせがあり、内部調査で発覚。男性は全額を弁済し、4月中旬に懲戒解雇された。全日空は被害に遭った乗客への謝罪と補償を進め、警察にも相談。業務用端末の閲覧権限を見直すなど再発防止策に取り組むとしている。

 全日空の親会社、ANAホールディングスは「お客さまにご迷惑とご心配をおかけし深くおわびする」とコメントした。