タンパク質を作る“工場”の役目を持つ細胞内の器官「リボソーム」を、世界で初めて試験管内で合成することに成功したと大阪大などのチームが25日までに英科学誌に発表した。人工のリボソームを使ってこれまでにないタンパク質ができれば新薬にもつながり、青木航阪大教授は「タンパク質の多様性を広げていきたい」としている。
タンパク質は、メッセンジャーRNA(mRNA)に従ってリボソームがアミノ酸をつなげることで作られる。ただリボソームは20種の生体アミノ酸しか効率的につなげることができない。人工のアミノ酸をつなげられれば新しいタンパク質を作れる可能性があるが、天然のリボソームでは難しかった。
チームは構造が比較的単純な大腸菌を使い、試験管でリボソームの合成に挑戦。リボソーム本体、リボソームを構成する遺伝子や、合成を助けると考えられるタンパク質など約200の物質を試験管内にいれた。
大腸菌内の環境に近づくように反応実験を繰り返した。その後、タンパク質を作るリボソームが合成できたことが確かめられた。