ゲノム編集されたジャガイモ(左)と普通のジャガイモ

 カレーやシチューを作ろうと買ってきたジャガイモ。余ったものをそのままにして芽が出たことはないだろうか。毒があるため取り除かないと食べられず、フードロスになる。そんな現状を変えようと、大阪大の研究チームがゲノム編集で芽が出ず、毒がほぼないジャガイモを開発している。

 ジャガイモは収穫後、日光に当たることでソラニンやチャコニンと呼ばれる毒素を持った芽が出てくる。食品加工場では手作業で芽の周辺を切り取っているほか、毒は光が当たり緑色になった皮にも含まれるため、流通や消費の過程で廃棄部分が多くなるのが課題だった。

 大阪大の村中俊哉名誉教授のチームは毒素の合成に関わる遺伝子の特定に成功。ゲノム編集の技術を使ってこの遺伝子を働かなくなるようにしたところ、作られる毒素が大幅に減少した。さらに別の遺伝子の働きを止めたところ毒素が減少した上に発芽も抑制できた。

 実用化には農家や消費者の理解も必要として、5月末までクラウドファンディング「レディーフォー」で広報費の寄付を募集中。