国の天然記念物・絶滅危惧種で、本州での個体数が極めて少なく「幻の鳥」と呼ばれる国内最大のキツツキ「クマゲラ」が、2021年5月に秋田県北部の森吉山(1454m)で目撃、撮影されていたことが分かった。本州では17年4月を最後に目撃情報が途絶え、生息が危ぶまれていた。今後、自然保護団体が調査に乗り出すとともに、保護に向け国に協力を求める方針だ。
秋田市の会社員遠藤英之さん(48)が撮影し、クマゲラ調査を長年続けるNPO法人本州産クマゲラ研究会(盛岡市)が写真を確認、雄の成鳥と認めた。環境省の担当者は「関係機関から情報収集したい」としている。
クマゲラは、黒い体に深紅の頭頂部が特徴で、北海道と北東北に生息するとされる。北海道では比較的目撃例が多いが本州では少なく、開発などに伴う環境悪化で絶滅が危惧されている。
遠藤さんによると、野鳥観察のため森吉山に入っていた時、近くで「キョーン」というクマゲラ独特の鳴き声が聞こえた。姿を目で追うと頭上に飛来し、無我夢中でシャッターを切ったという。