衆院憲法審査会の変化

 日本国憲法は3日、1947年の施行から78年。国会で憲法改正に前向きな「改憲勢力」は後退し、従来の「数の力」を背景に発議を目指す動きは鳴りを潜める。野党から衆院憲法審査会長に就いた枝野幸男氏は、与野党筆頭幹事との事前協議でテーマを調整。交流サイト(SNS)対策や臨時国会の召集期限など論点は多様化し、共通点を探るには時間を要する見込みだ。少数与党国会で、憲法論議は変化を見せている。

 昨年10月の衆院選の自民党大敗で、改憲勢力は国会発議に必要な3分の2を割り込んだ。衆院選前の憲法審では、改憲勢力で一致する「緊急時の国会議員任期延長」を中心にテーマを限定。総裁任期中の改憲を狙った岸田文雄前首相は「立憲民主党外し」も検討した。

 今年の通常国会では、枝野会長(立民)が審査会運営に積極的に関与する。自民と立民の与野党筆頭幹事と共に進め方を話し合い、2月に双方が取り上げたいテーマのバランスを考慮して設定。少数会派を尊重する故中山太郎元衆院憲法調査会長の「中山方式」を手本とし、「最大公約数」を探る。