【ニューヨーク共同】米コロンビア大は5日、優れた報道をたたえる今年のピュリツァー賞を発表し、最高の栄誉とされる公益部門に、人工妊娠中絶の規制によって適切な処置を受けられず死亡した女性らがいることを報じたニュースサイト、プロパブリカを選出した。プロパブリカは公益部門で2年連続の受賞。

 米国では2022年に連邦最高裁が中絶の憲法上の権利を否定した。プロパブリカは、中絶規制が強化された州で中絶薬を使ったり流産したりして容体が急変した女性らが、子宮から胎児をかき出す処置を受けられずに命を落としている実態を伝えた。

 選考委員会は「母体に生命の危険がある場合の除外規定が州法では曖昧で、違反を恐れた医師が措置を遅らせて妊婦の死に至ったと報じた」と評価した。

 ニューヨーク・タイムズ紙は最多の4部門で受賞。昨年7月のトランプ大統領の暗殺未遂事件で、銃弾の軌跡をとらえた一連の写真で報道写真部門を獲得。スーダン内戦で金の取引に外国勢力が関与し、戦闘に必要な資金を供給していると報じ、国際報道部門に選ばれた。