昨年9月、神奈川県横須賀市で米兵(22)が運転する車にはねられ、オートバイで勤務先に向かっていた伊藤翼さん=当時(22)=が亡くなった。直後に米軍が介入し、米兵は数時間後、横須賀基地の中へ。翼さんの両親に詳しい説明はなく、7日の初公判を前に「米軍から全然情報が伝わってこない。息子の最期の状況が知りたい」と語った。
米海軍横須賀基地を抱える同市では、2月にも高齢男性が米兵の車にはねられ重傷を負った。しかし市に連絡があったのは3週間後で、情報共有の在り方が問題視され、上地克明市長が記者会見で「重大な信義違反だ」と不満をあらわにする事態となった。
伊藤さんの事故は昨年9月18日、国道交差点で発生。横須賀署は米兵を立ち会わせて実況見分し、車を押収したが、身柄は米軍の憲兵隊が拘束した。米兵は仲間3人と食事に行く途中だった。
署は今年2月に自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で米兵を書類送検。3月に同罪で在宅起訴となった。
両親は米海軍横須賀基地に、同乗者へ話を聞きたいと要望したが、かなわなかった。