日本の探査機はやぶさ2が2020年に持ち帰った小惑星りゅうぐうの試料が、他の太陽系の岩石研究に使われる国際的な「基準」となるよう、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームが新組織を今夏にも設置する方向で検討していることが6日、分かった。信頼性の高い手法で分析したデータを広く公開し、太陽系探査で得た岩石や地上に落下した隕石と比較する対象として世界の研究者に活用してもらうのが狙いだ。
現在、太陽系の基準物質となっているのは質量の99%を占める太陽のほか、炭素を豊富に含むCIコンドライトという種類の隕石で、試料中の元素の量を「CIコンドライトの2倍」などと表現することがある。りゅうぐうの試料も研究者らに有用な基準として受け入れてもらうのが目標。いずれ単位のように使われるようになる可能性がある。
JAXAの臼井寛裕教授は「世界中の研究者に使われる基準を日本発で生み出せるかもしれない。ベストな形で提供したい」と語った。