長崎市は6日までに、同市の端島(通称・軍艦島)が石炭採掘で栄えた1970年代の様子をCGで再現した仮想現実(VR)映像を制作した。観光客らに無料アプリで公開している。島などで構成する世界遺産「明治日本の産業革命遺産」が、今夏で登録から10年を迎えるのに合わせた。担当者は「当時の活気を感じ、遺産の価値を再認識してもらう機会になれば」と話している。
映像は、スマートフォンなどでアプリ「ストリートミュージアム」をダウンロードし、島内の所定の場所で起動すると見られる。360度見回せる再現CGが静止画で表示され、現在の光景と見比べて楽しめる。現地に行かない場合は、CGアニメとして再生する機能もある。
映像は3種類あり、当時の島の建物や炭鉱の櫓、勤務に向かう作業員の姿が再現されている。アニメでは、ベルトコンベヤーで石炭を運ぶ様子などの音声も流れる。
端島は採掘できる石炭資源の減少などで74年に閉山。建物の老朽化が著しい。観光客らが操業当時の様子を想像しやすくなるよう、市の世界遺産室が企画した。