お岩木さま、実は少し低かった―。国土地理院(茨城県つくば市)が3月、新たな方法で計測した山の標高を公開、全国で76の山の高さが1m下がった。美しい山容から「津軽富士」とも呼ばれる青森県の岩木山も1624mに改定。文字通り山が動く事態に、地元では影響が広がる。「山をもっと知ってもらう良いきっかけ」と、逆手に取った動きも出ている。
国土地理院は、岩木山のほかにも羅臼岳(北海道)、米山(新潟県)、笠ケ岳(岐阜県)、市房山(熊本、宮崎県)など、76山で標高を1m低く改定。徳仙丈山(宮城県)、櫓岳(鹿児島県)、古見岳(沖縄県)は1m高くなった。実際の変動幅は数センチから数十センチほどだが、標高は四捨五入し1m単位で公表されるため、今回の値となった。
これまでは東京湾の平均海面を基準とし、2地点間の差を人が読み取る作業を繰り返し、測量していた。だが全国測量には10年以上かかり、地殻変動などで誤差が累積するのが課題だった。
そこで人工衛星を使った測定に切り替え、高精度かつ迅速に計測できるようにした。