国際大会の日本代表選考会で演技し、笑顔を見せる森ひかる選手=4月、東京都内

 能登半島地震から15日で500日。スポーツ界も復興の道半ばだ。空中で宙返りやひねり技を繰り出す競技「トランポリン」の五輪代表を輩出してきた石川県で、聖地のような輪島市の体育館は閉鎖されたまま。県ゆかりの選手は、特別な思いを胸に世界を目指している。

 「皆さんに助けてもらった私が力を送りたい」。そう語るのは強豪の金沢学院大を卒業した女子のエース、森ひかる選手(25)だ。英国に拠点を移したものの能登は「大好きな場所」。復旧が進まない状況に心を痛めてきた。

 輪島市の体育館は一部が支援物資の置き場に使われ、スポーツ施設としての利用再開は見通せない。競技継続が困難な人もいる中、東京都出身で石川県にトランポリン留学した森選手の活躍は明るい話題だった。

 石川県で競技が栄えた原点は、1970年代。日本トランポリン協会で副会長を務めた同県出身の故塩野尚文氏が女性の運動不足解消に役立てようと「ママさん教室」を開講。県内に教室が増えた。

 17日開幕の全日本年齢別選手権には、金沢学院大や同じ環境で練習する付属校から約40人が出場予定だ。