「ヌン活」という言葉が流行語となるほど、近年人気のアフタヌーンティー。ただ、多くが高級ホテルなどで提供されており、高嶺の花と感じがちです。岐阜市北鶉のCafe Tea Treeでは、「日々がんばっている自分への小さなごほうびとして、気軽に楽しんでほしい」という店主の思いから、値段は抑えつつ、本格的なティーセットに華やかに盛られたアフタヌーンティーを味わうことができます。

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 その店があるのは、店主木全美和さんの友人家族が営む老舗花屋の一角。カフェスペースは奥まった位置にあり、表通りからは控えめに設置された看板のみがその存在を示しています。目立つアピールをしないのは、「お客さまがどんどん入れ変わるというよりは、一人一人に自分のための時間をゆっくりと過ごしてほしい」という思いから。花屋の脇を通り、靴を脱いで、かつて住居として使われていた裏手に上がると、木全さんがこだわってつくり上げた非日常空間が広がります。

「自分へのごほうびとしてゆったりと過ごしてほしい」との思いで店づくりをする木全美和さん

 落ち着いたブルーを基調とした内装で目を引くのは、ふすまに張られた壁紙。アフタヌーンティー文化が生まれたイギリスのデザイナー、ウィリアム・モリスの作品です。随所に、木全さんが集めた雑貨やフラワーアレンジメントが飾られ、おしゃれで心地良い空間となっています。

 アフタヌーンティーは二段のケーキスタンドで提供されます。内容は季節によって変わり、ケーキに焼き菓子、サンドイッチやサラダなど盛りだくさんです。

 「アフタヌーンティーというと午後のお茶の時間をイメージされると思いますが、ランチ代わりに楽しめる内容にしています。お友達同士はもちろん、お一人でゆっくり味わっていただくのも大歓迎です」と木全さん。

 価格はドリンク付きで2300円。スイーツの数を絞った1850円のセットもあり、気分や場面に合わせて選ぶことができます。

現在提供されているイチゴが主役のアフタヌーンティー

 現在は旬のイチゴが主役。「イチゴのモンブラン」や「ベリーのジュレ」に、店定番の「生ドーナツ」や「生カヌレ」も。母の日をイメージし、食べられる花をあしらった美しい盛り付けが目を引きます。

 アフタヌーンティーは予約が必要ですが、その他のスイーツやドリンクはその場で注文が可能です。これからの季節のおすすめは、豆乳を使った台湾発祥の「豆花(トウファ)」。自家製のジャスミンシロップで仕上げた、さわやかな味わいです。

暑い時期におすすめのデザート豆花

 提供されるメニューはすべて木全さんの手づくり。「バターをオイルに変えたり、豆乳を多く使ったりと、体に優しいレシピにこだわっています。

 洋菓子だけでなく、豆花やベトナムのサンドイッチであるバインミーなど、旅先で食べておいしいと思ったものを、自分なりのレシピでお出ししています」

 もともとデザイン関係の仕事に就いていただけあって、デコレーションや盛り付けに木全さんのセンスが光ります。「とにかく“映え”るものが好きなので、味だけでなく見た目にもこだわっています」

 6月でオープンから丸2年となります。

 およそ20年前、「子どもたちにたくさん食べても安心なおやつを作ってあげたい」と始めた菓子作り。友人の間で評判を呼び、いつしかイベント出店や教室の講師として声がかかるように。子どもたちが成長し、時間に余裕ができたこと、折よく場所が借りられたことから、念願の開業に至りました。

ペット同伴で利用できる土間スペースもある

 「オープン前から応援してくれていたお客さま、友人たちに支えられて、ここまでやってくることができました。自分自身が楽しんでいることが、お客さまにも伝わって、笑顔で帰っていただける。これからもそんなカフェを続けていけたら」と木全さん。

 午後のひと時、こだわりの空間と華やかなスイーツが演出する、非日常の世界に浸ってみてはいかがでしょう。(取材・文 西山歩)

Cafe Tea Tree
岐阜市北鶉4丁目66-2
電話 090-9924-1332
営業時間 正午~午後4時
日・月・木曜定休
アフタヌーンティーは前日午後5時までに予約が必要。