首相官邸

 追加関税を巡る米中間の引き下げ合意に関し、日本政府内では今後の日米交渉への影響について「これまでの交渉で積み上げた基礎があり、限定的だ」という見方が出ている。ただ世界経済の懸念材料だった米中の対立が一服すれば、トランプ米政権にとっては日本に譲歩する必然性が弱まる。各国との交渉で「日本の優先順位が低下しかねない」と懸念する声もある。

 日本は米国との関税交渉で先頭に位置していたが、8日の米英間の合意に続き、米中間も12日に相互関税の引き下げで合意した。ある日本政府関係者は「145%の対中関税自体が常識外れの数字で、早期妥結は当然予想された展開だ」と指摘。政府内では日米交渉への直接的な影響は少ないという分析が目立つ。一方、別の政府関係者は「日本が(米中対立を利用した)漁夫の利を得られる可能性が減った」と懸念し、中国との協議を前進させた米国がより強気の姿勢で対日交渉に臨む可能性がある。

 日本は基幹産業である自動車などへの25%の追加関税撤廃を、交渉の本丸に位置づける。