AIを使った気象予測のイメージ

 気象庁が人工知能(AI)による気象予測の導入を検討し、体制を強化したことが13日、関係者への取材で分かった。過去の気象データを学んだAIが算出した予測を参考資料として活用し、既に予報に使っているプログラムと併用することで予報精度の向上を目指す。4月に新たなチームを発足させており、先行的に環境整備や技術開発を進める。

 実現すれば、ディープラーニング(深層学習)により膨大なデータから天候の変化の特徴などをAIが判断し、将来の気温や雨の状況といった予測を自ら出すことになる。台風の進路など、分野によっては現行の方式より正確になる可能性がある。

 気象庁は、深層学習AIなどによる情報の高度化を盛り込んだ追加の施策を6月ごろに公表する方針。これまで気象庁が深層学習を業務に使った例はない。

 気象庁の予報は、観測データからスーパーコンピューターで将来の大気の状態をシミュレーションする「数値予報モデル」を用いている。経験を積んだ予報官が計算結果を分析し、実際の状況などを加味して予報や防災情報を発表している。