北京市内に設置された監視カメラ(手前)と掲げられた中国国旗(共同)

 【北京、上海共同】中国上海市の裁判所は13日、国家安全に危害を与えた罪で起訴されていた50代の日本人男性が「スパイ活動を行った」と認定し、懲役12年の有罪判決を言い渡した。日本政府関係者が明らかにした。

 起訴内容は明らかにされておらず、中国の邦人社会で不透明な司法制度への懸念が広がりそうだ。判決を受け、在中国日本大使館は中国政府に対し、男性の早期釈放や司法プロセスの透明性向上を申し入れた。

 男性は2021年12月に上海で拘束され、23年8月に起訴された。北京市では23年3月にアステラス製薬の日本人男性社員が反スパイ法違反の疑いで拘束され、昨年11月に初公判が開かれた。

 習近平指導部は国家の主権と安全を守るためとして14年に反スパイ法を施行し、取り締まりを強化。スパイ行為の定義を従来より拡大した改正反スパイ法が23年7月に施行された。

 中国政府は今月12日に「新時代の国家安全」と題する白書を公表。習国家主席が提唱し、国家安全をあらゆる分野で重視する「総体国家安全観」を重大な戦略思想と位置付けた。