長崎県対馬市の対馬博物館で特別公開される観世音菩薩坐像=15日午後

 長崎県対馬市の対馬博物館は15日、市内の観音寺から盗まれ韓国に持ち込まれた後、12日に約12年半ぶりに同市へと戻り、16日から展示する県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」を報道関係者に公開した。来月15日まで、一般向けに特別公開する。

 仏像はガラスケースに収納され、企画展用の特別展示室で公開される。像の内部で見つかり、制作の時期や経緯が記された文書「結縁文」も併せて展示される。

 常設展示用のチケットを購入すれば鑑賞可能。対馬市民は、住所を証明できる身分証の提示で無料となる。

 同館によると、特別公開の終了後、仏像は館内の保管庫で管理する。防虫処理などのメンテナンスを行い、秋以降に常設展示することを検討している。

 仏像は、所有権を主張する韓国中部の浮石寺で今月10日に日本側に引き渡され、12日に対馬市に戻った。観音寺に一時安置され、檀家を集めて法要が営まれた後、防犯面などを考慮して同日中に博物館に移送されていた。