閣議に臨む石破首相(中央)ら=16日午前、首相官邸
 東京都内で開かれたイベントで講演する石破首相=14日

 政府は16日、パートらの厚生年金加入拡大を柱とする年金制度改革法案を閣議決定した。同日午後に国会へ提出する方針。保険料負担を避けるため働く時間を抑制する「106万円の壁」とされてきた加入の年収要件(106万円以上)などを廃止し、将来受け取る年金額を手厚くする。保険料を労使で折半する中小企業などの負担増を伴う。働く高齢者への給付拡充や、高所得者の保険料引き上げも盛り込んだ。

 一方、全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の底上げは見送った。衆院議院運営委員会は、20日の衆院本会議で審議入りする日程を決めた。6月22日の会期末までの審議時間は限られており、今国会での成立は不透明な情勢だ。

 法案は、本会議や委員会の質疑に首相が出席する「重要広範議案」に与野党が指定。政府は当初、3月中旬までの提出を目指したが、夏の参院選への影響を懸念した自民党内で意見集約が難航した。

 基礎年金底上げは、就職氷河期世代などが低年金に陥るのを防ぐ対策の一環で改革の目玉だった。