補陀洛山寺の裏山にある「渡海上人」の墓前で読経する僧侶ら=17日午後、和歌山県那智勝浦町

 和歌山県那智勝浦町の世界遺産・補陀洛山寺で17日、平安から江戸時代にかけて海のかなたにあると伝わる浄土を目指して小舟でこぎ出し、再び帰らなかった「渡海上人」と呼ばれる僧侶の供養が営まれた。

 本尊が開帳された本堂で法要と護摩たきが行われ、高木智英住職(43)らが裏山にある渡海上人の墓前で読経した。

 僧侶は20人以上が旅立ったという。わずかな食料と水などを積んだ小舟に乗って近くの浜から出発し死の直前まで経を唱えたと伝えられる。江戸時代には亡くなった僧侶を送る水葬の形に変わった。寺には1993年に復元された小舟がある。