長崎県佐世保市の食品卸売会社「協和商工」に勤め、過労で精神障害を発症した男性=当時(25)=が、2017年に自殺したとして、母親(70)が会社に約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は、19日までに福岡高裁(岡田健裁判長)で和解が成立した。母親らが記者会見を開き、裁判所が和解を勧告したと明らかにした。
和解は、会社側が遺憾の意を表して再発防止に努め、解決金を支払うことで8日に合意した。金額は非公表。一審判決は因果関係を認めず、母親の請求を棄却していた。
母親は「息子が遺書に書いた職場環境の改善への願いをかなえられた。よかったねと伝えたい」と話した。協和商工は「ご遺族のことを考え、一定の補償をして事件を終結させることが妥当な解決だと熟慮した」とコメントした。
一審の長崎地裁判決によると、男性は14年12月に精神障害を発症し、17年3月に自殺した。発症月の時間外労働は195時間で、15年1月〜16年12月は1カ月当たりおおむね100時間を超えていた。