インタビューに答える日本製鉄の森高弘副会長

 日本製鉄の森高弘副会長が20日までに共同通信のインタビューに応じ、トランプ米政権の高関税政策を受け、日鉄にとって米鉄鋼大手USスチールの買収計画の重要性が一段と高まっているとの認識を示した。買収が実現すれば米国での投資を増額する考えも明らかにし「収益性が悪くなる心配はしなくていい。リターンのない投資はしない」と語った。

 買収の可否を巡っては、対米外国投資委員会(CFIUS)がトランプ大統領の指示で再審査している。一方で、トランプ氏は就任以降、鉄鋼やアルミニウム、自動車の輸入に対する追加関税を次々と発動。このため森氏は、米国内で生産するインサイダー(内部者)となることが「なおのこと大事になっている」と語った。

 最近は中国で過剰に生産された鋼材が大量に輸出に回り、市況の低迷が著しい。森氏は事業環境がさらに「悪化する可能性にも備えなければいけない」と懸念を表明。米国での生産に加え、中国の影響を受けにくいインドでの生産能力拡張を急ぐ考えも示した。