【ロンドン共同】世界的に権威のある英国の文学賞「ブッカー賞」の翻訳書部門「国際ブッカー賞」が20日、発表された。作家川上弘美さんの小説「大きな鳥にさらわれないよう」は最終候補の6作品に残っていたが、受賞しなかった。インド南部カルナタカ州の女性作家バヌ・ムシュタクさんの作品が受賞した。
ムシュタクさんは人権活動家で、弁護士。受賞作「Heart Lamp」はカルナタカ州の公用語カンナダ語で書かれ、ディーパ・バスティさんが英訳した。
川上さんの作品は14編からなる短編集。英題は「Under the Eye of the Big Bird」で米田雅早さんが英訳した。絶滅の危機にひんした人類の未来がテーマで、2011年の東京電力福島第1原発事故をきっかけに、人類が生み出した科学技術を制御できなくなったとして執筆を決めた。
国際ブッカー賞は英訳作品が対象。最終候補には川上さんやムシュタクさんのほか、フランスやイタリアなどの作家の作品が選ばれていた。