カシミール地方・パハルガム、インド、パキスタン

 【ニューデリー共同】インドとパキスタンの武力衝突の発端となった係争地カシミール地方のテロから22日で1カ月。公務員の夫サミールさん(54)を目の前で殺害されたシャバリさん(51)が20日、共同通信の取材に応じ「なぜ係争地の警備が手薄だったのか。なぜ実行犯が捕まらないのか」とインド政府への不信感をにじませた。

 テロはカシミール地方のうちインド側支配地域の景勝地パハルガムで起きた。東部コルカタから訪れたサミールさん夫妻と娘のシュバンギさん(17)は草原地帯でポニーに乗った後、写真撮影を楽しんでいた。その時、銃声が聞こえてきた。

 恐怖で地面に伏せたが、寝そべった観光客たちのところへ1人の男が近づき、イスラム教聖典コーランの暗唱を命じた。ヒンズー教徒のサミールさん家族が口ごもると、サミールさんだけが銃撃され即死した。非イスラム教徒の男性を選別したとみられ、犠牲者は26人に上った。実行犯は逃走した。

 シャバリさんは「テロ発生は情報活動に失敗したからだ」と怒りの矛先を政府に向けた。