世界11カ国で大腸がんのゲノム(全遺伝情報)を調べたところ、日本人患者の約5割で、一部の腸内細菌が分泌する毒素が原因となる固有の変異が見つかったと、国立がん研究センターなどのチームが21日、発表した。増加傾向にある若年層の大腸がん発症に関わっている恐れがある。

 チームは日本人28人を含む計981人の大腸がんゲノムを分析。がんの原因となる変異のパターンを調べた。

 すると大腸菌など一部の腸内細菌が分泌する「コリバクチン毒素」による変異が、日本人患者の約5割で見つかった。他の国の平均より2・6倍多い。毒素が大腸の細胞のDNAを傷つけ、がん発症につながる変異を起こすとみられる。

 この変異は、50歳未満の若年患者に多く、70歳以上の高齢患者の約3・3倍だった。患者から毒素を分泌する腸内細菌が検出されない例も多いため、以前に毒素にさらされたと推定される。

 成果は英科学誌ネイチャーに掲載された。