石破茂首相は21日、パラグアイのペニャ大統領と官邸で会談し、両国関係を「戦略的パートナー」に格上げする方針で一致した。日本企業の進出を後押しする投資協定の締結でも大筋合意した。南米で唯一、台湾と外交関係があるパラグアイとの連携強化を図り、台湾に軍事的圧力を強める中国をけん制する狙いがある。
首相は会談後の共同記者発表で、東・南シナ海での中国による覇権主義的行動を念頭に「威圧による一方的な現状変更は許されない」と表明。ペニャ氏は、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋を推進する日本への支持は「変わらない」と強調した。
記者発表で首相は両国の人的往来や経済関係の活性化に向け、来日するパラグアイ人の短期滞在ビザ(査証)の免除措置を6月から始めると明らかにした。両首脳は記者発表に先立ち、2国間協力を話し合う局長級政策協議の枠組みを設ける覚書に署名した。
日本外務省によると、パラグアイには約1万人の日系人が居住しており、日本の直接投資額はアジアで最多を誇る。